Scene9 すれ違い ページ9
「…ごめんなさい」
うつむきがちにAは答えた。しかしシュウも食い下がる。
「どうして…?俺のことが嫌いなのか?」
「違う!シュウ君のことは大好きだよ、むしろ…」
「それならどうして⁉ 行かないと死ぬわけでもないのに!」
もうシュウは自分を管制できなかった。悔しくて悲しくて、勝手に理不尽な気持ちになって、それがバカなことであると頭ではわかっていても、ブレーキはきかなかった。
「死ぬの!」
「……え?」
「行かなきゃ死ぬの‼」
Aは顔を真っ赤にして言った。そしてシュウにくるりと背を向けて、去ろうとした。
「ちょ…待っ…!」
どうして?どういうこと⁇
シュウはAに手を伸ばした。
パシッ。
「ッ!」
シュウの手が
シュウは驚き、またA自身も自分のしたことにはっとした様子で言った。
「あっ!ごめん…なさい……」
Aは今にも泣き出しそうな顔して、哀しそうに言った。
「私…本当に…ダメなの」
思いつめた表情でAは続ける。
「本当に…ごめん…。私はシュウ君のこと大好きだから。でも本当に帰らなくちゃいけないの…。そう、大好きだからこそ……」
Aは「クッキー」と呼んで愛犬を腕に抱いた。
「とにかく…ごめんね、また来週、楽しみにしているから…。本当に、ごめんなさい……」
それからAは今度こそ帰っていった。
一瞬、シュウには何が起こっているのかよくわからなかった。
Aに拒絶された。それもはっきりと。
明らかに今日はシュウが悪かった。後になって痛いほどわかった。
まだ彼の手のひらにかすかに残るびっくりするほど華奢なAの腕の感覚が、女の子というものが自分とは全く別の、ひどく傷つきやすくやわらかいものであることを感じさせた。
ただ後悔と虚無感だけが、心にぽっかりと穴を開けて。
ほらほら、あの人から言いたいことがあるみたいですよ☆
シスコ「お前はオレだけ見とけばいいんだよ」
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通行人 - ふと思い出して、久しぶりに来てみました。やはり引き込まれる。 (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7f966a9c98 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!少ない脳を振り絞って書いただけありました(笑) トプ画のことまでお気づきとは…さすがです! (2019年2月15日 23時) (レス) id: a6baa0d096 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あと、トプ画ですが、人物を抜いてオーダーされていましたね!そこがとても内容と合っていてさすがだな〜とセンスに感動しています 次作品も楽しみに待っていますね〜^^ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました!!!フブキもシュウも彼等らしい爽やかな感じで、読んでいて温かくなりました^^とても読みやすい文章に文間、ストーリー構成、とても勉強になります!私も瀬央さんを見習って、風景と心理描写をシンクロさせたラストへ進みたいです (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - みずきさん» そう言ってもらえるととても嬉しいです。ベイバをこよなく愛してるから、学校の作文より本気になって書いてるかもしれません(笑) (2019年2月12日 23時) (レス) id: d89c1d2e97 (このIDを非表示/違反報告)
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