Scene6 いつもと違う日曜日 ページ6
季節は巡り、初夏の爽やかな風はまちを駆け回る。
今日は待ちに待った日曜日。Aは、いつもの樹の下で、待っていた。
「今日も来てくれるかな…」
薄茶色のクッキーの毛を撫でながらAはぼやいた。
「Aさーん!」
見ればフブキが手を振って向かってくる。
「フブキ君、おはよう」
「おはようございます、Aさん。あ…シュウさんですよね、今日はオーナーに呼ばれて来れないみたいです」
「…そっか」
Aが心なしか寂しそうな顔をしたのを感じたのか、フブキはちょっと不満そうに頬を膨らませて、
「ボクはシュウさんみたいにカッコよくはないかもしれないですけど、これでも頑張ってるんですからっ!」
と言った。それを見てAはおかしそうに笑った。
「なッ!どうして笑うんです⁉」
「なんかフブキ君って面白い!それからかわいい!」
「かわ…って!」
俺はカッコよくなりたいのに、と思いつつも赤くなってしまうフブキ。
「うふふ、私はフブキ君カッコいいと思うし、大好きだよ」
Aは楽しそうに笑った。
「ーーー!ボク遊ばれてますよね⁉ ボクだって頼りがいのある男になろうしてるんですよ⁉」
「あはは、因数分解もロクにできない小学生がよく言うわ」
「素因数分解ならできます!」
「素因数分解と因数分解は全く違う!」
「素がつくかどうかの違いじゃないですか!多分できます!」
「じゃあ、“x2乗+3x−4”の因数分解できる?」
「256は2×2×2×2×2×2×2×2です!」
「それを2の8乗って言うのよ。それに私の問題に答えてないじゃない!」
「だって中学の勉強なんてわかるわけないじゃないですか!」
「それはそうでしょうね、私もよくわかってないもの」
「それじゃダメじゃないですか!」
「あらそう?小学5年生の内容なら教えられるわよ?」
「Aさん〜!」
2人は本当に楽しそうに、笑いあっていた。
クッキーだけは相手をしてもらえずにつまらなそうに仰向けに寝転んでいた。
ほらほら、あの人から言いたいことがあるみたいですよ☆
シスコ「お前はオレだけ見とけばいいんだよ」
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通行人 - ふと思い出して、久しぶりに来てみました。やはり引き込まれる。 (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7f966a9c98 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!少ない脳を振り絞って書いただけありました(笑) トプ画のことまでお気づきとは…さすがです! (2019年2月15日 23時) (レス) id: a6baa0d096 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あと、トプ画ですが、人物を抜いてオーダーされていましたね!そこがとても内容と合っていてさすがだな〜とセンスに感動しています 次作品も楽しみに待っていますね〜^^ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました!!!フブキもシュウも彼等らしい爽やかな感じで、読んでいて温かくなりました^^とても読みやすい文章に文間、ストーリー構成、とても勉強になります!私も瀬央さんを見習って、風景と心理描写をシンクロさせたラストへ進みたいです (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - みずきさん» そう言ってもらえるととても嬉しいです。ベイバをこよなく愛してるから、学校の作文より本気になって書いてるかもしれません(笑) (2019年2月12日 23時) (レス) id: d89c1d2e97 (このIDを非表示/違反報告)
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