あの日、初恋の匂いがした。【ベイバ超ゼツ紅シュウ】 (ページ5)

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Scene5 3人の日曜日ページ5

「…どうしてフブキ、お前がいるんだ」
シュウは今週もまたAに会うためにセントラルパークへと向かうわけであったが、それにちゃっかりフブキもついて来ているのだ。
「いえ、ボクは別に、普通にジョギングをしようと思って」
「フッ…嘘つけ」
「あ、バレましたか？」
フブキはちょっとおどけてみせた。
「行ったら、Aさんに会えるかなぁ、なんて。バカな試みなんですけどね」
期待に目を輝かせるフブキを横目に、シュウはフブキを応援してやらなければと思う一方で、悔しさか嫉妬心か、無意識のうちに苦いものを感じていた。
「あ、いた！Aさん！」
フブキの視線の先にはAがクッキーと共にいて、フブキはその方へさらにスピードを上げて走っていった。
速いな。
はやすぎるんだよ。
シュウは内心そう思いながら。
「あ、シュウ君、フブキ君！」
Aは2人を見つけるとパッと笑顔になって大きく手を振った。
「フブキ君も来てくれたんだ。賑やかになって嬉しいね」
「ハイ！ぼ、ボクも嬉しいですっ！」
フブキは赤くなって言った。
「Aさんと会えるのを楽しみにしてましたから！」
「そっか、ありがと」
クスッとAが笑って、フブキはまた嬉しそうに口を開く。
「お～クッキー、また競走するか？」
シュウはすり寄ってきたクッキーにそう話しかけた。
少なくとも談笑する2人を見るのがいやだった。
そうすることが、いかにも子どもっぽく、無意味なことであるかわかっていても、シュウはそうせずにはいられなかった。
「お2人さんの邪魔はしちゃダメだよね～」
シュウは形こそクッキーにそう言っていたが、それが本心でないことぐらい、自分自身も、ひょっとしたらクッキーさえも気づいていたのかもしれない。でもそのことさえも気づきたくなかったシュウがいた。