Scene4 ニューヨークブルズ ページ4
「A、俺のベイクラブ、来てみない?」
唐突にシュウは切り出した。
「へ?」
Aはきょとんとした顔を見せた。
「俺の所属してるベイクラブ。俺だってずっと公園ブラブラしてるだけじゃないしね」
「いいの?」
「もちろん。行こうよ」
シュウがクッキーを抱き上げ、歩き出そうとしたとき、
「待って!」
Aがシュウの服のすそを掴んだ。
「私…1時までには絶対に帰らなきゃなんないから、間に合うかな?」
シュウはほんの少しだけ怪訝そうな顔をしたが、フッと笑って、
「大丈夫。ここからそう遠くないから。間に合わせるよ」
と言った。
「ほら、おいで、クッキー」
「ワン!」
「A、こっちがチームメイトで、後輩のフブキ。で、フブキ、こちらがAな」
「フブキ君、よろしく」
「はじめまして」
ニューヨークブルズに着いて、シュウは初めにAに最愛の愛弟子を紹介した。
Aはどこか怯えたような悲しいような光を目に宿らせていたが、誰もそれには気づかない。
「ワンちゃんかわいいですね、トイプードルかな?なんていう名前です?」
「クッキーよ。可愛いでしょ」
Aは満面の笑みを浮かべた。
「クッキーはね、私が寂しいとき、いっつも一緒にいてくれるから、私のことよーくわかってるの。抱っこしてあげて」
本当に愛おしそうに、Aはクッキーをフブキに手渡した。
「シュ・ウ・さ・ん・は、美人の彼女を見せつけるためにわざわざ来たんですか!」
フブキがシュウに耳打ちした。「彼女いるなら教えてくれてもよかったじゃないですか…」
「おい、ちょっと待て、Aは彼女じゃない!ただの友達だ!」
シュウは顔を赤くして思わず声を上げてしまったが、Aには聞こえていないようだった。
聞こえていないように見えた。
「え?本当に付き合ってないんですか?」
「あ、あぁ…」
「じゃ・あ、」
フブキの目が光った。
「ボクにもチャンスはあると考えていいんですね?」
フブキの腕の中でクッキーはもがいて、しきりに頭を振っていた。
さすがのシュウも、この展開までは予想できなかった。
ほらほら、あの人から言いたいことがあるみたいですよ☆
シスコ「お前はオレだけ見とけばいいんだよ」
18人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
通行人 - ふと思い出して、久しぶりに来てみました。やはり引き込まれる。 (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7f966a9c98 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!少ない脳を振り絞って書いただけありました(笑) トプ画のことまでお気づきとは…さすがです! (2019年2月15日 23時) (レス) id: a6baa0d096 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あと、トプ画ですが、人物を抜いてオーダーされていましたね!そこがとても内容と合っていてさすがだな〜とセンスに感動しています 次作品も楽しみに待っていますね〜^^ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました!!!フブキもシュウも彼等らしい爽やかな感じで、読んでいて温かくなりました^^とても読みやすい文章に文間、ストーリー構成、とても勉強になります!私も瀬央さんを見習って、風景と心理描写をシンクロさせたラストへ進みたいです (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - みずきさん» そう言ってもらえるととても嬉しいです。ベイバをこよなく愛してるから、学校の作文より本気になって書いてるかもしれません(笑) (2019年2月12日 23時) (レス) id: d89c1d2e97 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ