Scene28 夏の終わり ページ28
『超Zスプリガン、バーストフィニッシュ!よって4−1で、紅シュウの勝利!』
審判の声が響き渡る。一瞬、しんとして、その次の瞬間には今大会最大の大歓声が上がった。
『なんとー!このKing of America's Blader Cupで激戦を制し、見事アメリカ王者の輝いたのは、紅シュウだーーー!』
フブキも思わず席を立って拍手してしまった。ちょうどこちらを向いていたシュウと目が合った。シュウはステージの上でフブキに笑いかけた。やはりシュウは強かった。
表彰式。シュウはメダルを首にかけてトロフィーを掲げた。カメラのシャッター音がせわしなく鳴る。
紅シュウがベイブレード全米王者として認められたこの日、もう一つの物語は。
いろんなところに引っ張りだこなシュウをこっそり呼び出して、フブキは全てを告げた。彼女との約束を守るために______
「なんだっ…て?」
全てを聞き終わると、シュウの顔から笑みが消えた。
「まさか、そんな…嘘だろ?」
「……いいえ。彼女は確かに僕にそう言いました」
嘘だったらどれほど良かっただろう、フブキも当然そう思っていた。
「そうだ、元からおかしかったんだ!Aは、彼女は…!」
シュウはすぐにメダルもトロフィーもほったらかしにして、走り出した。
「シュウさん⁉」
「フブキも行くんだろう⁉ Aのところへ!」
「っはい!」
今すぐ行こう。
絶対行こう。
急いで行こう。
最後の夏が終わる前に!
「タクシー!」
会場を出てすぐつかまえたタクシーに2人は乗り込む。
「目的地は?」
シュウはフブキに尋ねる。
「わ、わかんないです!病院の名前まで聞いてませんっ」
「わかった、じゃあ運転手さん、この近くにある一番大きい病院まで、大急ぎでお願いします!」
的確な判断だったのかもしれない。彼女の話からして、Aが大きな病院に入院していることは明白だった。
「はい、かしこまりました」
少年たちの青春の一ページを乗せたタクシーは発進した。終わろうとする夏の命は、紙屑や枯れ葉と追いかけっこしている。
ほらほら、あの人から言いたいことがあるみたいですよ☆
シスコ「お前はオレだけ見とけばいいんだよ」
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通行人 - ふと思い出して、久しぶりに来てみました。やはり引き込まれる。 (2019年9月5日 19時) (レス) id: 7f966a9c98 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!少ない脳を振り絞って書いただけありました(笑) トプ画のことまでお気づきとは…さすがです! (2019年2月15日 23時) (レス) id: a6baa0d096 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - あと、トプ画ですが、人物を抜いてオーダーされていましたね!そこがとても内容と合っていてさすがだな〜とセンスに感動しています 次作品も楽しみに待っていますね〜^^ (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました!!!フブキもシュウも彼等らしい爽やかな感じで、読んでいて温かくなりました^^とても読みやすい文章に文間、ストーリー構成、とても勉強になります!私も瀬央さんを見習って、風景と心理描写をシンクロさせたラストへ進みたいです (2019年2月15日 22時) (レス) id: 02de3cf915 (このIDを非表示/違反報告)
瀬央(プロフ) - みずきさん» そう言ってもらえるととても嬉しいです。ベイバをこよなく愛してるから、学校の作文より本気になって書いてるかもしれません(笑) (2019年2月12日 23時) (レス) id: d89c1d2e97 (このIDを非表示/違反報告)
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