【WT】鮮紅の花束 Ⅴ (ページ6)

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第四十八話「離れ離れ」ページ6

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メイドが持ってきてくれた紅茶を啜る。何のハーブティーが使われているのかは分からないが、爽やかな味わいに釘付けになった。

俺が嗜んでいる間、メイドは小さなほうきを手にし、棚上などを掃除し始める。

「あの、メイドさん。お名前は？」

「そういえば自己紹介がまだでしたね」

胸あたりにまで伸びる栗色の髪。真珠のように美しい薄灰色の瞳。右頬にある細長い傷の痕。まるで人形のような美貌を持つ彼女は、凛としていた。

「パール・ディグニファイドと申します。以前はぴくと様の専属でしたが、現在はA様の専属に任命されました」

「よ、よろしくお願いします」

「何なりとお申し付けください」

「何でもいいの？」

「左様ですが…」

「僕を外に連れて行って欲しい」

パールは静かに首を横に振り、淡々とした冷たい声色で子供をあやす様に話す。

「私はA様の専属ではありますが、A様の命令より国王様の命令を優先しなければならないのです」

「それって…」

「私は命令されているのです」

「A様をこの部屋から絶対に出すな、と」