バロメーター53 ページ4
「……何かあったのか」
『なんにも、ないです』
あったよ、ありまくりだよ。
泣いている私を見て、しっかり興奮している彼を睨みつける。
『もう、はなして……っ！』
捕縛布は緩まったが、身を捩ってもなかなか抜け出せない。
彼はどうしたらいいのかわからないのか黙って私を見ている。
沈黙の気まずさに少し涙が引いてきた。
もう最悪だ。
ただでさえ色々あって気まずいのに、泣き顔まで見られるなんて。
転校したい。
なるべく彼と顔を合わせない様に下を向いてなんとか抜け出そうとするが、余計に締め付けがキツくなった気がする。
……もう！これなんの時間？！
なんで離してくれないわけ？！
この間にもずっと彼のバロメーターから効果音が聞こえてきてほんとに嫌いになりそうだ。
私がバロメーター見えるの知ってるくせに。
我慢する気はないのか。
暫く沈黙が続いたが、急に捕縛布で彼の方に引き寄せられた。
「大丈夫か」
……ほんとに心配してんのかよ。
身動きが取れない状態で、メーターがすでに八割は超えている彼に見つめられ、私は黙ったままコクコクと頷く。
至近距離で泣き顔を見られて恥ずかしい。
「なにかされたのか」
今度はフルフルと首を横に振る。
バロメーターの事も、死柄木の事も全部言いたいのに。
一番頼れる存在のはずの先生は、なぜか私の事そういう目で見てるし。
『反省文書くから、離してください』
「……バロメーターは相変わらずか」
『……はい』
「それのせいでこんなに身が入ってないのか」
確かに不 純 異性 交遊プラス門限に遅れるなんてもっと怒られても仕方ないけど、今回は！私！悪くないんだってば！！
「どうする？バロメーターが消えるまで自室待機にするか？」
……そりゃあそうしたいけど。
相澤先生にここまで怒られるのは初めてで、また涙が浮かぶ。
そんな怖い顔してるけどしっかりムラムラしてんの知ってるんだからな。
私は涙をグッと堪え、呼吸を整えて彼の目を見た。
『大丈夫です。明日からは心入れ替えます』
そう言うと、捕縛布がスルッと離れた。
「……わかった。何かあったらすぐに言うんだぞ」
『はい』
じゃあ少しはバロメーターの数値下げてくれませんかね。
「早く寝ろ」
そう言って彼は私の頭をポンポンと撫でて歩いて行った。
「あと、反省文は明日までに十枚書いて持ってくるように」
……寝かせる気ねえじゃねえか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 897人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Selena(プロフ) - おいやみーさん» ご指摘ありがとうございます🙇♀️ 確かに言われてみればそうだ笑 原作を全て忠実に再現しきれているわけではないので、他にも矛盾点があるかもしれないですが、そこはご愛嬌という事でお願いします🥲 (1月6日 16時) (
レス) id: b337fdb84f (このIDを非表示/違反報告)
おいやみー - 志村転弧だと死柄木が思い出すのは髪が白くなった泥花事件以降では？ (1月1日 10時) (レス) @page34 id: df2aa3c6fc (このIDを非表示/違反報告)
う - 宇宙の塵ルートだけはwwwwwwおもしろすんぎぃっ (9月30日 18時) (レス) @page38 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
Selena(プロフ) - 秋田の肋骨さん» ご指摘ありがとうございます🙇♀️🙇♀️ (8月12日 23時) (レス) id: 17f1437868 (このIDを非表示/違反報告)
秋田の肋骨 - すき。めっちゃ好みです！ 修学旅行ではなく，林間合宿では、、、？ (8月12日 1時) (レス) @page50 id: 93fef38cdf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Selena | 作成日時：2023年3月24日 10時
