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第6話『拒絶』 ページ7

彩side


声がする中、翼が立ち上がる。

「お前らっ・・・!」

翼が声をあげようとすると、杏奈ちゃんが翼の服の裾を掴んで止める。

翼は驚いて杏奈ちゃんを見る。

「止めなくていいよ。好きに言わせとこ」

「止めないと、こいつらやめないぞ」

「チャイムが鳴ったら諦めるよ。私たちが反応したら余計に面白がるから、無視してよ」

杏奈ちゃんの言葉に、翼は少し不満そうにしながらもまた席に着いた。

それを面白くないと思ったのか、1人の男子が翼と杏奈ちゃんに近づいて、杏奈ちゃんの腕を掴んで立たせる。

杏奈ちゃんはびっくりして目をぱちくりさせている。

「早くキスしろよ」

そう言って、その男の子は杏奈ちゃんを翼の方に押し付けた。

杏奈ちゃんは転けそうになり、翼は立ち上がって杏奈ちゃんの肩を掴んで受け止める。

「お前ら、まじでいい加減にしろよ」

ドスの効いた低い声が教室に響き、みんなは翼がブチ切れていることに気づく。

そんな中、杏奈ちゃんは口元に笑みを浮かべる。

「助けてくれてありがとう、美門くん。でもほんとにもういいから。怒らないでよ」

「神崎はイラつかないの?」

翼の言葉に、杏奈ちゃんはにっこり笑う。

いつもと変わらない、優しい笑顔。

この状況でその笑顔を出せることが逆に怖い。

「だって、この人たちのために怒るのって時間の無駄じゃん」

笑顔だけど、その言葉にみんなは固まった。

隣にいる翼も目を見開いて呆然としている。

「それより、この問題の続き教えて!こっからどうするのかさっきからずっと考えてるんだけどやっぱり分からなくてさー」

杏奈ちゃんに手を出した男の子は困惑した表情で杏奈ちゃんを見る。

「神崎・・・?そ、そんなマジになんなって・・・」

杏奈ちゃんはそんな男の子を見て、さっきの笑顔は消え、すっと真顔になった。

「え?今何か言った?」

みんなは更に硬直して、石像のように動かなくなった。

笑顔なのは杏奈ちゃんだけ。

「ね、美門くん。早く続きやろ?」

この時の杏奈ちゃんは、まるで別人に見えた。

第7話『早朝登校』→←第5話『お似合い』



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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (2023年5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (2023年5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年3月13日 20時

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