笑顔の仮面は知っている【探偵チームKZ事件ノート】

第47話『裏サイト』 ページ48

杏奈side


「まあそのことは一旦置いといて。・・・きっと、自分では」

上杉くんはそう言いながら、気の毒そうに目を細めた。

「自覚ないと思うけれどさ、学校裏サイトでたたかれたストレスもあると思うよ」

私も美門くんも彩ちゃんもびっくりした。

どうして知ってるの？

「学校系のサイトをサーフィンしてたら、美門の名前が見つかったからさ」

そう言いながら、上杉くんは涼しげなその目に冷ややかな光をまたたかせた。

「ちょっと入り込んで、悪質な発言者のアドレスを特定し、そこにウイルス送り込んで、ぶっ壊しといた」

え・・・。

そんなこと出来るんだ・・・。

私は唖然としてしまう。

「やるねぇ、上杉教授」

黒木くんが笑いだして、そこにちょうど戻ってきて話を聞いた若武くんと小塚くんが、はしゃいだような笑顔を見せた。

「よくやった、上杉」

「ほんと、すごいよ」

うわぁ・・・嬉しそう。

「ま、放っておいても、裏サイトの連中なんて、どうせ自滅の道をたどるんだけどさ」

え、どうして？

彩ちゃんも分からないみたいで、上杉くんはそんな私たちに気づいて、わずかに笑った。

「匿名で他人を中傷し、毒を吐いて誰にもわからないと思っていても、自分だけには分かっている。これが実は、最も恐ろしいことなんだ。人間の心には、超自我ってものがあって、これが常に心の中をパトロールしている。不正なことをすると、この超自我が自分を攻撃し始めるんだ。すると身体のバランスが狂っていく。もちろん本人は気付かない。どうも調子がおかしいなんて思いながら、鬱状態に追い詰められていったりするわけ。そして自滅」

そうなんだ・・・！

何でも知ってるんだ、上杉くんって。

私もそうならないように正しく振舞って生きていこう。

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