第45話『大丈夫』 ページ46
杏奈side
私たちは病院に着き、待合室に着くと、ソファに座る彩ちゃんを見つけた。
「どう?」
彩ちゃんが、診察室の方に目を向ける。
「診察してるとこ」
彩ちゃんの隣に座ろうとした若武くんに、黒木君が言った。
「家に連絡しといた方が、いいぜ」
若武くんが外に出ていき、入れ替わりで診察室から看護師さんが姿を見せる。
「先生がお話をしたいって言っているんだけれど、誰に話せばいいのかしら」
上杉くんが片手を上げ、看護師さんと一緒に診察室に消えた。
美門くん・・・大丈夫かな?
私は不安で震える手をぎゅっと握る。
しばらくして戻ってきた若武くんが、彩ちゃんの隣に腰を下ろす。
「てんでダメ。美門から聞いた番号にかけたんだけど、誰も出ない」
小塚くんが言った。
「じゃ、かけ続けよう。そのうち出るかもしれないし。今度は僕、行ってくる」
それを見送っていると、診察室のドアが開いて上杉くんが顔を出す。
上杉くんは、入ってこいと指で合図をした。
私たちはそのドアから中に入った。
そこは廊下で、突き当たりが診察室、そこまで行く途中の両側に、カーテンで囲われたベッドがいくつも並んでいて、中の一つに美門くんが横たわっていた。
ベッドの傍には点滴の台が立ち、腕に針が刺さっている。
美門くんは目を開けていたけど、どことなくぼんやりしていた。
「おい、大丈夫かよ」
若武くんの声で、美門くんがこちらを向く。
「ごめんね」
美門くんはすごくだるそうだった。
「医者、なんて言ってる?」
黒木くんに聞かれて、上杉くんは肩をすくめた。
「血圧や心電図、血液検査の結果は、全て正常な範囲内だって。つまり異常なしってこと」
よかったけど・・・美門くん、こんなにしんどそうなのに?
「細かく言うと、白血球や血小板がやや少なく思われるけど、個体差もあるから、この1回の検査だけじゃなんとも言えないって。1番考えられるのは、こういうことらしい。もともと風邪か何かで微熱があったところに、急激な運動をしたためにそれが高熱になり、全身ダウンした状態」
さっきあんな激しい動きしたからかな?
ダンスの練習、大変そうだもんね。
「解熱剤を入れた点滴をしておくから、終わったら帰っていいってさ。薬も出ないらしい。このくらいで救急車を呼ぶなって言いたそうだった」
だって、友達が倒れたんだもん。びっくりするよ。
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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (2023年5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (2023年5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年3月13日 20時