第42話『怒り』 ページ43
彩side
私は、頭からすっと血が引いていくような気がした。
直後に、怒りが湧き上がってきて、ドカンと頭の中で爆発したんだ。
何、その言い方。
ひどくない?
私は、一生懸命やったんだからねっ!
そりゃ、頑張りさえすれば褒められるってのは、小学生までだってことは知っている。
中学になったら、頑張るだけでなく、それを成功させないと評価されないんだって。
でも若武は、これでいいって言ったんだよ。
それって、評価したってことでしょ。
若武は、これを認めたんだ。
それなのに、言うに事欠いて、デザインになってないって、何よっ!
「これじゃ、パターンなんか作れねーよ」
私は上杉くんの手からスケッチブックを引ったくった。
「だったら、あなたが描いてみれば?」
上杉くんは、驚いたように目を瞬かせる。
「何でキレてんだ?」
あなたの発言のせいっ!
「アーヤ、こっちに来て」
黒木君が、私の二の腕を掴んで部屋の端の方に連れていった。
「アーヤは知らなかったんだと思うけれど」
そう言いながら私の手からスケッチブックをとって、デザイン画のページを開く。
「デザイン画って、外側から見た形を描くだけじゃないんだ」
え?
「そこからパターンを起こすんだから、建物で言うと設計図みたいなもの。服のどの位置で布を切り替えるとか、ダーツを入れるとか、そういったことがひと目でわかるように書かないと。アーヤの描いた絵は、ほら、ここで線が切れてるだろ。こっちも。これじゃ、どういう形に布を断てばいいのかわからない。それにこの服には開閉部分がないから、どうやって着るのかもわからない。ボタンかファスナーか、あるいはフックなんかをどこかに描きこんで位置をはっきりさせないと」
話を聞きながら、私は真っ青になった。
デザイン画って、そういうものだったんだ。
全然、知らなかった。
急に恥ずかしくなって、私は俯いた。
上杉くんの顔をまともに見られなかったんだ。
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アーヤ(プロフ) - 住滝良さんのと、少し文が違って「ここ、本文あれだったよなw」って楽しいです! (2023年5月11日 21時) (レス) @page47 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
アーヤ(プロフ) - すごく面白いです!このまま、ストーリ続けてください。(あれ、完結してたっけ?)少しだけわがまま言うと、kzの皆は彩の親友(恋人?)ダァーッ! (2023年5月11日 21時) (レス) @page37 id: d9605ef4e5 (このIDを非表示/違反報告)
桜@ひなた - 面白すぎです!私はアーヤと若武推しです! (2023年2月12日 10時) (レス) id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - まこさん» ありがとうございます!!黒木くんかっこいいですよね! (2020年10月30日 23時) (レス) id: 2b665a7700 (このIDを非表示/違反報告)
まこ - すごく面白いです! 私も黒木くん推しです! 更新待ってます! (2020年10月30日 17時) (レス) id: e335c0e9f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:澪 | 作成日時:2020年3月13日 20時