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＊
ここにいてはダメだ。何故かは分からない。
ただ、直感的にそう思った。
隣のテヒョン先輩は私の方にある肩に
スクバを下げている。
数歩前のグクくんは透明だ、
つまり私には触れることができない。
家まではほんの数十メートル。
いける、ギリギリ。逃げるなら今だ。
「ね、ジョングガに何て聞かれたの〜?」
「ｯ、!」
大きく1歩踏み出し、走り出す。
「あっ!」
『A!』
その時。
「チェ A。『止まれ』。」
聞こえた声に呼応するように、
彫刻の如くピタリ、と動きを止める私の体。
こんな能力、1人しか心当たりはない。
「あー!ナムジュニヒョン!!いい所に。」
ナムジュン先輩だ。
「……いつの間に私の名前をご存知に?」
「この間、偶然ね。
グガもいるなら出てこい。」
後ろから悠々と歩いてきて私の前に立ってから
グクくんを呼ぶ先輩。
『でもそしたらAが反動肩代わりして…
って、これヒョン達知らないんだっけ。』
「うん、そうだね。」
一瞬、独り言かと思ったが目は確実に
私の姿を捉えていたので一応返事をする。
2人の先輩の頭上にはハテナが浮かぶ。
『はぁ…
しょうがないから上手くやってあげる。』
そして静かに透明化を解いたグクくん。
「あ、そこにいたのか。
それで?さっきAになんて聞いたの?」
しかし彼は答えない。
「テヒョナ、グガは反動だよ。」
「あ、そっか。じゃあ俺に
メッセージ飛ばしてくれたらいいや。
嘘かどうかはAで見よう。」
でも上手くやるって、グクくん。どうやって?
「ん、何々?
『指導教員の担当を把握してたから、
その理由を聞いた。
そしたら呼ばれることが増えたからだって』?
え、至って普通じゃない?なんで嘘なの?
ん?
『とぼけられたら困るから、
首を縦か横に振るだけにさせたら』?
それいいね。採用。」
なるほど、と心の中で思った。
それなら私が喋る必要は無いから、
グクくんの反動を引き受けたと分からない。
ありがとう、グクくん……
「じゃあ、A。
今から聞くこと、全部首を横に振って?
担当を把握してたのは
呼ばれてる内に知ったから?」
言われた通り、首を横に振る。
「本当だね。」
「じゃあ、Aさん。
担当を俺たちの中の誰かから聞いたの?」
首を横に振る。
「本当みたいヒョン。
じゃあ、先生の誰かから?
んー、これも違う?」
「なら、卒業生に身内がいる。」
うぐ、バレた。
首を横に振る。
「あっヒョン嘘!!
てことはこの身内に聞いたの?
そうだって!」
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