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「…その、よかったんですか?」
「それは何が?
今俺におぶられてること?
俺に鞄を取りに行かせたこと?
それとも俺も早退したこと?」
私が黙り込むと、
おぶっている先輩の背中が緩く揺れる。
どうやら笑っているようだ。
「全部に決まってるじゃないですか。」
「悪かったって、からかってるだけ。
別に女1人上げられないほど非力じゃないし
鞄つってもお前がいたのと同じフロアだし
俺普段からサボりと早退は割としてるから
常習。大丈夫。
それよりお前こそ、俺何も考えずにお前を
おぶったけどずっと情報ウィンドウ見えてる。
反動食らってんじゃね?」
と、言われても。
「先輩の反動知りませんし。」
「あー、視力悪化。多分明日まで続く。
あとで別れる時メガネ渡しとくから、
明日見えなかったらかけとけ。」
ありがとうございます、といいつつ思い返す。
本当にテヒョン先輩ジミン先輩の2人の分は
心身ともにしんどいからもう懲り懲りだ。
あ、反動ついでに思い出した。
「ずっと聞けなかったことが。
グクくんの反動ってなんですか?
私普段、透明化した彼と行動することが
多いんですけど、なにもなくて。」
ずっと不思議に思ってたんだ。
流石に無害ってことはないはずなのに。
「あー、ジョングガ?アイツは
声が出なくなるってやつ。
ただ、反動が出るのは透明化を解いた時だから
お前が透明なアイツと動いてるうちは大丈夫。
んでグガもお前の反動には
薄々気付いてるんじゃねぇの?
多分お前の反動を肩代わりする範囲外でしか
透明化を解いてないんだと思う。
アイツは変なとこで勘はいいからな。」
な、なるほど…
知らぬ内に気を遣わせてしまったのだ
としたら申し訳ない…
あ、気遣いと言えば。
「ユンギ先輩、
こないだのジュース代、払います。
いくらですか?」
しかし帰ってくるのは怪訝な声。
「…いつのこと言ってんの?」
「みんなで畑を作った時です。」
言った途端また背中が規則的に揺れる。
「っは、お前律儀だなぁ。別に、あんなん
黙って奢られときゃいいのに。」
いや、そんなわけにはいかない。
先輩のご厄介になるなど。
「ほら、ここの道は?」
「あ、右で…
そこの茶色い家がそうです。」
家の前でそっと降ろされる。
「気分は?」
「大丈夫です…あ、これ。
幾らか分からないのでとりあえず。」
1000ウォンを手渡す。
「っあ−、いいのに。悪ぃな。
んじゃこれ。
メガネ、貸しとくから。じゃ。」
「ありがとうございました。さようなら。」
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