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『もっと急いで!』

昼休み。
全生徒が同じペースで廊下を行き交う中
全力疾走で走り抜ける私とグクくん。
まぁ、実際に見えてるのは私一人だが。
しかしこれも薬のせいなのか、
おかしな行動をとる生徒がいても
まるで空気のようにスルーされている。

ちょ、まって……彼走るの早すぎない…?

「まって、グクくん。走るの早すぎ。
どこに向かってるの?」

『知らない。さっき怪しんでた
生徒指導室覗いたけど誰もいなかった。』

知らないって……思わずため息をつきかけた時
『う"ぁあ……ッ!』
『Click,click click!!』

後ろの方から聞こえたのは
やけに聞き覚えのあるフレーズと低い呻き声。
思わず弾かれたように振り向く。
「ねぇグクくん今のって……」

『今の?何それ、何か聞こえた?』

「え?ジミン先輩の能力発動の……」
グクくんには聞こえてない。
つまり能力によるもの。

彼もそれは勘づいたよう。
『やばいかも、それ。どこ、案内して。』

声の方に足を進める。
『Bang,bang!』
スパン、スパン、という音が響く。

辿り着いたのは階段の踊り場、
直前の曲がり角で足を止める。

『どうしたんだよ、なぁ。A!』

思い返されるのは、もう1週間程前に
職員室にて刺された釘。
『奴らの言うことに耳は貸さない』
担任兼生徒指導の彼と交わした約束だった。

もし、ここで足を進め、
恐らくその先で行われているだろう
彼らの『指導』に口を出せば、
その約束を破棄することになってしまう。
もし、ここでグクくんに『見失った』
『聞こえなくなった』と言えばそのままで
私はこれからも安心して生活できる。

『なんで止まるんだよ、なぁ。』
私は彼に言ったはずだ、
ここで大人には逆らわない、と。
だから、許されるはずだ。
よし、聞こえなくなったと言おう。
息を吸い込もうとしたその時。

がば、と地面に膝をつくグクくん。
『何考えてるか、大体分かった。

でも、頼むから。ヒョン達を見捨てないで。
俺はなんでもする!だから!!
大切な、兄さんなんだ。お願い、します…』

所謂、土下座だ。
『大人側につくっていってたのも分かってる。
それなら俺を売ればいい。
だから、だから……』

何故そうまでして……はぁ。


「今回だけだから。隙は自分で探して。

その代わり、グクくん。
さっき言ったこと忘れないでね。」


そのままグクくんを無視して足を進める。
そして慌てて駆けつけた風に

「先生!なんの騒ぎですか!?」


私、役者向いてる?

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作者名:朔夜 | 作者ホームページ:無し  
作成日時:2019年3月12日 20時

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