14.無限の画用紙 ページ15
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剣道部、吹奏楽部、そしていくつかの部活動が無事に全国大会出場を決め、2学期が始まった。
剣道の全国大会は9月上旬に終わったけど、
吹奏楽部の夏はまだまだ続くようだ。
「吹奏楽、全国決まったね。おめでとう」
『ありがと。ひとまず安心かな…。
無一郎くんも全国優勝だよね、おめでとう』
「優勝は団体戦だから先輩のお陰だけどね」
残暑がしつこく続く放課後の坂道で、僕は今日もAのトランペットの音色を聴いていた。
個人戦全国ベスト8、これが僕の今年の成績。
ちなみに上位圏は炭治郎や善逸達が2年にして総嘗めして、うちの学校の名前は一躍有名になったらしい。
『私だって関東金賞は55人の金賞だしね』
「でも君のソロは大きいと思うけどね」
関東大会でもソロの大役を勤めあげたAは、目前に迫った全国でもソロを吹くことが決まってる。
ちなみに全国メンバー入りを果たした1年はたったの2人。禰豆子とAだった。
「そういえば禰豆子と仲良くなったって?」
『うん、いっぱい話しかけてくれたの』
部活内で孤立しがちだったAを禰豆子はことさら気にかけていたようで、同じクラスの僕も禰豆子から度々話を聞いていた。
禰豆子はフルート、Aはトランペット。
形も構造も大きく違う楽器だけど、どうやら2人は今世でも気が合ったみたいだ。
「…そりゃそっか」
Aは早くから禰豆子を信じていた柱の1人だったから。
禰豆子には前世の記憶がある。
性格が少し変わっても芯は変わらない彼女に安心したようで、すごく懐いているみたいだった。
「そうだ。全国見に行くからね、僕」
『…え、チケット取れるものなの?』
「いや、知り合いからもらったんだ」
ポケットからひらりとそれを取り出して見せれば、Aは目を見開いて僕を見た。
まさかチケットまで手に入れてくるとは流石に思わないだろうし、その反応は予測済み。
嫌がられるかと少し身構えたその時、
Aの表情が一気に緩んだ。
『見に来てくれたら、すごく嬉しい』
「ほんと?」
『うん、誰かに聞いてもらうの初めてだから』
「え、家族とかは見に行かないの?」
『んー、どっちも忙しいんだよね。
…特にお父さんはトランペッターだし、プロでもない私達の演奏なんか聴きに来ないでしょ』
『父上は柱だったから、私が弱いって分かるんだよね』
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指切り(物理) - 素敵な作品ありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ。いやぁホントに神すぎます! (2022年4月5日 10時) (レス) @page25 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ぱらさん» 全部の言葉が光栄でしかないです、めっちゃ幸せです…!!こちらこそありがとうございます🙇♀️ (2021年11月11日 17時) (レス) @page24 id: 423a130570 (このIDを非表示/違反報告)
ぱら - 楽しく読ませて頂きました!一個一個の言葉が胸に染みました…!素晴らしい作品をありがとうございます!! (2021年11月8日 17時) (レス) id: 1cfc9a3f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいこん(プロフ) - ミユモンさん» わあぁありがとうございます光栄です…っ!!のんびり更新ですがどうぞお付き合いください🙇🏻♀️ (2021年10月28日 23時) (レス) @page11 id: dc07c220d6 (このIDを非表示/違反報告)
ミユモン(プロフ) - 言葉の使い回しがすごく好みです…更新頑張ってください🙌✨ (2021年10月28日 20時) (レス) id: 2ad0dd50d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さつむいこん | 作成日時:2021年10月7日 23時