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その後の会話はもうなかった
言葉すら、この場面には必要なかった
ほんの僅かしか残っていない命のある時間に言葉は要らない
ただ、目の前の晴れた景色を見つめるだけ
ずっとこの景色を見て、ふと思い出した
最後に翔くんと会った日
俺ははっきり言ったんだ
「俺がもし死ぬ事になったら、最後にこの景色を見たい」
子供ながらの考えを彼は『僕も』と答えていた
もしかしてこの願いを覚えていてくれたのか
だとすれば……………
『大野さん』
翔くんの一言で考えは遮られた
『残り1時間ほどです。下の大通りまで戻りましょう』
「うん」
すぐに顔を伏せてまた細道へと体を翻した
涙の跡があるのが
ちゃんと見えた
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