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『あぁ、その写真ですか？』
わざわざカウンターから出てきてそっと額縁をなぞった
『以前この場所、住宅として使われてまして。その時の方々の写真です。ここの家主さんが“これだけは飾って欲しい”と言われて飾っています』
「そうなんですか……」
注文を聞かれとりあえず珈琲を頼んで座った
向かい側に彼が座る
『なんか、懐かしい気がします』
「どこが？」
『この場所……雰囲気というか……。それにこの家の前の色合いとか』
この家、というのは額縁に飾られた写真に写っている風景
薄緑のペンキの家の前を車椅子の男性を囲むように5人笑顔でピースしている
『生徒さん、良いところ知ってますね。』
「久々に来たけど結構良いところだよね」
どうぞ、と運ばれた珈琲を口にする。芳醇な香りが漂う
「うんま。人生最後に来てみて良かった」
『人生最後だから良いんですよ』
ふふ、と笑う
時計を見ると14時を過ぎていた
果たしてどうしよう
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