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また、数週間後。
母さんの跡形も無くなり、静かな家で踞っていた。
きちんと学校には行っている。
らっだぁ先輩たちに聞かれたが、軽く流した。
先生にも口止めして。
『...はぁー。』
父さんは捕まった。
父さんの言い分はとても理解できるようなものではなかった。
"俺を捨てるのが悪いんだ"
もう、知っている父さんではなかった。
人間とは思えない。
でも...
あれこそが、人間の本性なのかもしれない。
『母さん...』
母さんの部屋で踞る毎日。
寝不足なのか、目の下に隈が出来てしまった。
母さんの名残をなぞるように時には母さんの本棚から本を取り出し読んだりもする。
今日も同じように、本を手にかけたとき。
はら、と一枚の紙が落ちてきた。
『...？』
拾い上げると、母さんの文字が綴られている。
どうすれば良いのか分からない今、すがるようにその文字に没頭した。
なぞるように文字を見る。
"Aへ
今、私は居ないのでしょう。慣れもしない手紙だから変かも知れないけど、ごめんなさいね
貴方が、父さんが来たのだと言った日、殺されると察しました。そのため、これを記します。
私が、貴方にあげることが出来たものは余りありません。そして、これからも。
助言をすることさえ出来ません。
貴方は、貴方のしたいことをしなさい。
貴方はいい子です。優しい子です。
ですが、貴方は我慢しなくていいです。
自分のしたいことをしなさい。
母さんがいたせいで、出来なかったことも沢山あるのでしょう？
母さんだから、貴方のことを全て分かってる、なんてことは言えないけれど、ある程度は分かっているつもりでいます。
最後になったけれど、産まれてきてくれてありがとう。
大好きよ。
母さんより"
涙が流れてくる。
母さんに、私迷惑ばかりかけていたのに。
産まれて直ぐ、今までと違って過去の、前世の記憶があったから警戒していた私。
そんな私にも、優しく接してくれた母さん。
親孝行出来なかった。
多分、憎たらしい子供やったと思う。
『っ、ごめん、ごめん...っ！』
肩を跳ねさせながら涙を止めることなく流す。
濡らしたくなくて、紙を側に置く。
『ぅ"あ〜、やば』
母さんに笑われてまうな、こんなんやと。
涙を必死に拭い顔をあげる。
『っし、決めた。』
スマホを手に取り、シャオロンに連絡を取った。
内容は例の誤解だ。
シャオロンに私も行くから解くのを手伝って貰うよう頼むと、快く了承してくれた。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年1月14日 22時
