心に負った深い傷 14 ページ41
翔サイド
雅紀が急患対応中って伝えておくって言ってくれたものの、ここでこうしていられるのもあと30分が限度だろう。
智にぃも今日は心理検査の予約が入ってるはずで、誰も和と過ごしてやることができない。
同じようなことを考えてるらしい智にぃが俺を見ながら苦笑いするから、
困ったな…
って、俺も苦笑するしかなかった。
そんな中、モゾモゾと動き出した和。
「和、どっか辛いとこある？」
聞いても涙をポロポロ溢すだけで答えない。
「痛いとこない？」
智にぃが聞くと、僅かに口が動いたけど声にはならない。
その異変にいち早く気づいたのは智にぃだった。
「和、声出ない？
パパって言ってごらん？」
智にぃに言われてパクパク口を動かすんだけど、やっぱり声にはならないみたい。
それから結構な時間を割いて丁寧に診察したんだけど、声の出ないような所見は特別見当たらない。
「智にぃ…」
思わず、すがるような視線を向けてしまうと、
「うん…失声症かな？」
小さく低い声で答えた智にぃ。
でも次の瞬間、腰を屈めて和と視線を合わせると、
「和？
だいじょーぶ。ちゃーんと治るし、おしゃべりできない間もパパたちがいるから安心して、ね？」
って、とびっきりの笑顔で言って聞かせた。
益々和のそばに誰かいてやらないと、って思いを強くしていると、
「とにかくクリニックに連れてって、見える所に居させよう」
そう言うと同時に和を抱き上げた智にぃ。
俺もそうするしかないって思って、何も言わず点滴のボトルを持ってクリニックへと向かった。
でもそれからが大変だった。
嘔吐を何度も繰り返し、油断するとパニックになるしで。
片時も目を離せない状態になった。
もう受付時間が終わるって頃、先に診察を終えた雅紀が、
「ちょっといい？」
珍しく俺の診察室に入って来て、険しい顔で話し掛けて来た。
「何とかなんないの？
子どもだと鎮静剤とか使えない？あんなに苦しそうになのに…」
「俺も考えてんだけど、あれだけ嘔吐してたら、ヘタに鎮静掛けると誤嚥が怖いわ。
雅紀はもう終わり？この後、ずっと和に付き添える？」
「俺はもう手、空いたよ。やることがない訳じゃないけど、別に今やらなきゃいけないことでもないから、和優先で平気」
勤務医時代のように、その日の診察が終われば"はい、終了！"って、ならないのが開業医の辛いとこ。
聞くだけ野暮だったなって、苦笑を浮かべた。
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棗(プロフ) - パスワード申請します 。 いつも、拝見させていただいてます。 (2019年2月14日 20時) (
レス) id: ef140653c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - パスワード申請します。 お願いします。 毎回楽しく読ませて頂いております。 (2019年2月14日 16時) (レス) id: 03009ea5b3 (このIDを非表示/違反報告)
rietan(プロフ) - パスワード申請します いつも楽しみに読ませてもらっています 疲れた心が癒されます (2019年2月14日 0時) (レス) id: 09ada2be90 (このIDを非表示/違反報告)
シナモン(プロフ) - こんばんは。パスワード申請お願いします。いつも、楽しく拝見させて頂いています。ドキドキしたり、ほっこりした気持ちになります。これからも、楽しみにしていますので無理の無いように更新楽しみにしてます。 (2019年2月14日 0時) (レス) id: bd8fca3fd7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - パスワード申請 いつも拝見させていただいてます。 (2019年2月13日 21時) (レス) id: 1d2222a8c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2019年1月19日 21時
