朝と君と待雪の花 16 ページ46
「セイバー! アルトリア・ペンドラゴン」
「はい、マスター」
青い騎士の清冽な気配がその場を包む。
「ランサー! スカサハ師匠」
「うむ、よかろう」
影の女王は悠然と愛槍を手にする。
「アーチャー、エミヤ! ご飯もよろしく」
「任せてくれ、マスター」
苦笑と共にエミヤはコフィンへと。
「ライダー、アサシン、キャスター!」
3騎が銀の光とともに現れた。
「ライダー、メデューサ。ここに」
「アサシン、佐々木小次郎。推して参る!」
「最後は俺か。キャスター、クー・フーリン。ま、よろしくな」
マスターは最後のーーーー背に現れる令呪に意識を込めた。
「バーサーカー……!」
赤黒い砂塵の中から、凶悪なシルエットが浮かぶ。居合わせたメイヴが頬を染めた。
「殺戮だな」
そこに立っていたのは、最終再臨を終えた姿の狂王だった。コォン……と、槍が唸りを上げて血を求めている。
「このメンバーで行くね」
「ああ、頼むよ」
ロマニに手を振り、各自コフィンに乗り込む。狂王もまたレイシフトに備えようとおろしかけた瞼の僅かな視界に、走りよってくる小さな子どもを認める。
「くー!」
飛びついてきた、といってもたかがしれた衝撃を受け止める。
「もう出るぞ、言いたいことがあるなら」
早く、と告げる唇を塞がれる。すぐに離れたぬくもり。
「まってる」
頬を撫でる手に不安はなく、勝利の確信と無事を願っていた。
「……ああ」
待っていろ。今度は狂王から唇を重ねる。少し歯を立てると、じわりと滲む鉄の味。べろりと傷口を舐めて、囁いた。
「この傷を思っていればいい」
ーーーーこれで、寂しくはあるまい。
腕から解放し、今度こそ振り返らずコフィンへ乗り込む。時空が歪む衝撃は今までになく愉快で、狂王はゆらりと尾を揺らした。
「羨ましいんですか?」
「そんなことないやい……」
項垂れるロマニを、ナイチンゲールとダ・ヴィンチは優しく小突いた。
ーーーー
レイシフトに臨むほんの30分前、Aはロマニに呼びだされた。聖杯保管室、カルデアの地下倉庫へ。
「残酷だけれど、ここが本来、君のいるところだ」
少女は神妙に頷く。
「このところの君を監視させてもらったけれど、君はおおきな力……魔法と呼んで差し支えないものをその身に秘めている。なにかのきっかけで、発動しないとも限らない。ただ」
ロマニは振り返る。Aはそのとき、この青年の《本当の姿》を目にした。幻のようにゆらゆらと浮かんでいる。
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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時