朝と君と待雪の花 15 ページ45
ーーーーでもそれを、受け入れてくれる相手がいるのなら、とても幸福なことなんだろうね
(変化を、受け入れる……)
マシュにも覚えのある感覚だ。第1の特異点の頃の自分と、今の自分は、何か……いや、何もかもが違う。戸惑うこともあった。つきることない疑問。ひとというものはあり方が様々で、例えば同じ正義や理想を胸にしていたとしても、たどる道は違う。
それが、人なのだ。
(成長も、恋も、根幹は同じなのかもしれません)
自分の変化を、進む道を、正しいと信じーーーー信じられて、ようやく息ができる。ひとりきりでは、進めない。
マシュは出逢った。マスター、それに、力を貸してくれている英霊、他にも様々なサーヴァント。だれひとりとして、苦難の中にいない人はいなかった。けれど、みな、ひとりきりではなかった。
それに気がつけないことは、とても悲しい。
「……Aさんにとって、オルタさんは希望なんでしょうか?」
手繰り寄せた答えをたずねると、少女ははにかんだ。
「うん」
(Aさんは、きっと……)
恋を覚えるより先に、彼に希望を見出したのかもしれない。雪の中にも芽吹く命があると、知ったのだ。
「……お花、増えるのかなぁ」
「群生するものらしいので、増えるかもしれませんね」
「じゃあね、名前、つける!」
「いいですね」
いちばん大きな花をAは指さす。
「これがね、くー」
「おっきいですもんね」
「これが、マシュさん」
「ありがとうございます」
「これがね、フォウさん」
「フォッ!」
「それからね……」
少女たちの明るい声が、朝の庭に優しく響いた。
ーーーー
「よし、それじゃあ向かうよ。みんな、準備はいい?」
いつになく気合いの入ったマスターの号令に、サーヴァント達もまた背筋を伸ばす。
「これから向かう特異点は、今までとは訳が違う。サポートもろくにできないかもしれないが」
「大丈夫、みんながいるから!」
「頼もしいねぇ」
ダ・ヴィンチはたくましいマスターの一声に、今回も大丈夫そうだと、確信が湧いてくる。
「お待たせしました」
「あ、マシュ!」
そこへ、久々に戦闘服に身を包んだマシュがやってきた。盾を手にする姿はいつにも増して凛々しい。
「……ほんとに行く?」
「はい。先輩となら、大丈夫です」
「……よし」
不安が無いわけではなかったが、後輩の意思を無為にはしたくない。
「じゃあ、メンバーの最終発表ね!」
令呪の刻まれた左手を突き出す。
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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時