君のいる朝 23 ページ27
医務室の中でも集中治療室と呼ばれる区画はガラス張りになっていて、中の様子が外から見える。かつてAもここにいた。
背伸びをして見下ろすと、管に繋がれて眠る彼の姿がある。たくましい胸は僅かだが上下していた。本当はそこへ耳を当てて鼓動を確かめたい。最後に触れた肌は血でぬめって冷たかった。低いとはいえ息づく温度が恋しい。
3日、たった3日、されど3日。あの世界もさみしかったけれど、これほどではなかった。
(くー、くー)
ガラス越しに、頬や頭をそっと撫でる。そうやって誤魔化してみても、わっと泣きそうになる。彼のいない場所で、どうやって息をしていたか思い出せない。
こんなことになるなら、朝、彼が目覚めるまで、一緒にいればよかった。今日は行かないで欲しいと、駄々をこねてみればよかった。そうしたら、怪我をおわずに済んだかもしれない。
サーヴァントは戦うために肉体を得るのだと聞かされていても、苦しい。大切だと思えば思うほど、彼にとっては、足枷にしかならないのだろうか。
夜になると、疑問が次から次へと浮かんでくる。
このまま目を覚まさなかったら？ 彼がまたあんな大怪我をしたら？ そもそも、どうしてあんなになってまで戦わなければならなかったのか？
どれもこたえなんて出ない。怖くて、眠れない。
祈りを捧げても、以前のように心が満たされることなどない。かつての夜の世界のよう。冷たい風が吹きさらし、足元から崩れてしまいそうだった。
ただ、ひとこと、声が聞きたい。もう大丈夫だと言ってほしい。
触れたい。そばにいたい。最後の血だらけの姿を、かき消すくらい、傍に。
噴き出しそうな感情をAは唇を噛み締めて押し込んだ。待てる。まだ大丈夫。大丈夫。ひとりでも、
｢へい、き｣
口に出すと、心はつらいと叫んだ。傍に行きたい。名前を呼んでほしい。元気になってほしい。本当はもう、どこにも行って欲しくない。
じわ、と、涙が浮かんできて、慌てて目をこする。部屋に戻ろう。ベッドでじっとしていたら、気持ちも落ち着く。
(泣いちゃ、だめ。泣いちゃ……)
ここにいると、触れられない距離がつらくなる。たまらなくなって走り出したAはしかし、首根っこを掴まれた。
｢待て待て、そう急ぐでない。あわてんぼうめ｣
猫の子どもをつまむように持ち上げられる。この扱い方を、知っている。まさかと思って振り返ると、そこにいたのは望んだ人物ではなかった。
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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます！！2度もいただいてもったいない……！は、発狂！そこまで萌えていただけて嬉しいです！いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります！ (2018年1月11日 0時) (
レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして！感想ありがとうございます！1章から読んでいただけて嬉しいです！3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……！ (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます！最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです！ 心待ちにしています！ これからも頑張って下さい！ (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております！三章が凄く楽しみです！これからも頑張ってください！！ (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして！感想ありがとうございます！1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……！3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします！ (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sandoriyon0000 | 作成日時：2017年12月13日 23時
