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君のいる朝 16 ページ20

医務室まで続く血の跡を眺める少女の背の痛ましさに、顔を見合わせたセイバーとセイバーのオルタは声をかけようとした。その時ーーーーー深く、マスターへ向けて頭を下げる。

「治して、あげて、ください……っ」

マスターが振り返る。ほとんど涙声の叫びに、それでも深く頷いた。

「……絶対、治すよ。信じて待ってて」

ドアが閉まり、医務室に赤いランプが灯る。Aはまだ頭を下げたままだ。見れば、膝が震えていた。

「おい……」

セイバーのオルタが先に声をかけると、それが合図だったかのようにAはひぐ、と肩を震わせた。膝を抱え、ぐすぐすと泣き出す。幼子の涙声に、柄にもなく動揺したセイバーのオルタはもう1人の自分へ助け(と呼ぶには傲慢だが)を求めた。

(なんとかしろ!!)
(んな、私だって泣き止む方法なんて……!!)

二人が念話で言い争う間にも、泣き声は消えない。ええい、なるようになれ。セイバーはドレスを翻して少女の傍へ駆け寄った。

見下ろして、そのちいささに驚く。こんなちいさなからだなのに、彼女は狂化した狂王をおそれなかった。この子がいなければ、狂王はきっと令呪で解かれるまで狂化したまま、誰かを傷つけていたかもしれない。そうなればきっと孤立する。クー・フーリン達と諍いを起こしていたかもしれない。
Aはそんな未来を退けたのだ。少女の優しさに、セイバーは敬意を払った。

「……先ほどは、ありがとうございます」

セイバーはしゃがみこみ、震える背を撫でる。ぶんぶんと大きく頭が振られた。その動作で、彼女の涙の理由に気がつく。緊張がとけたからでも、血に怯えたわけでもない。

今も彼女が泣くのは……。

「怪我がひどくて、心配だったんですよね」
「……っ」
「大丈夫、怖がらなくていい。傷は必ず治ります。痛みも、いつかは癒えます。大丈夫、大丈夫……」

うわぁああんと、子どもらしく大声をあげて、Aは泣いた。
あんな大怪我をして狂王が現れたことなどないAには、ショックが大きかったはずだ。付きまとう死の気配も、子どもながらの敏感な部分で感じただろう。
セイバーは震える背を撫でて、気が済むまで付き合おうと決めた。オルタの自分も、いつの間にか反対側にしゃがみこみ、黒のドレスが汚れるのも構わずに血や涙を拭ってやっている。

(なんだ、やれば出来るじゃないですか。私)
(……うるさい)

朝方になって泣き疲れて眠るまで、二人はAを慰め続けた。

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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時

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