検索窓
今日:36 hit、昨日:0 hit、合計:54,659 hit

君のいる朝 12 ページ16

【久しいな、ドルイドの賢者】

聞き覚えのある声にキャスターは目を見開く。

そんな、馬鹿な。ーーーーお前は

「冬木の……!!」

月を背に空へ立つ黒衣の弓兵。顔の半分を影におかされた姿は、カルデアの弓兵とは別の存在である証左。

「……奇妙なこともあるものだな。なぜ生きている、お前」

セイバーのオルタは問いかけながらもじりじりと魔力を剣へ集めていた。宝具がいつでも展開できるように準備を行う。それを目をすがめて俯瞰する男は、機械めいた口調で淡々と告げる。

【カルデアのマスター、俺は抑止の代行だ。お前達の中へ混ざる異物、回収させてもらう】
「異物……?」
「あの聖杯の娘か」

キャスターの答えに、満足そうに頷く。

【あれは外へ出すべき存在ではない】
「目的はわかった。……ならばなぜオルタを襲撃した、あれは巻き込まれたんだぞ。無関係だ」
「師匠! そんな言い方!」
「事実だ。お前は黙っていろ」

にべもなく言い捨て、キャスターは敵を見据えた。かくいうキャスターも、反撃の準備は整っていた。いざの時に備えて仕込んだルーンを発動させれば、影も形もなく焼き払うことができる。

(だからはやくそこを退けオルタ。それとも深手か……?)

この一帯を焼き払うだけの大掛かりな防護だ。間違いなく狂王を巻き込む。サーヴァントの傷を癒せるのはマスターだけだ、負った傷に加えてさらに傷を増やせば、多量の魔力を消費させることになる。ただでさえ魔術師としては未熟なマスターにそんな負荷はかけさせられない。
遠くで地に伏したままなのは目視できるが、傷の程度はわからない。

(くそ、セイバー、ランサー、早く戻れ……!!)

せめてどちらかでも戻り、狂王を連れ出してくれたのなら。ぎ、と拳を握り、打開できないもどかしさを逃がす。

それとも。
は、ともう一つの可能性に至る。ランサーもセイバーも、襲撃を受けているのだろうか。

「キャスター、引き出せるだけ情報を引き出せ。あれとの戦闘は私に任せろ」

セイバーのオルタの囁きに、キャスターは気を引き締めた。単騎の二人の実力は折り紙付きだ、今はそれを信じるしかない。

弓兵の空気が変わったのは、直後のことだ。

【……あのサーヴァントは関わりを深めすぎた。後の憂いを断つ。これも人類の為だ、恨むなよ】

恐るべき速度で魔力が収束し、炎を纏い放たれた。
軌跡はただ一点、未だ動けぬ狂王へ向かう。

「オル……!!」

血飛沫が、派手に舞った。

君のいる朝 13 【微グロ】→←君のいる朝 11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。