検索窓
今日:16 hit、昨日:37 hit、合計:54,676 hit

花のない庭 01 ページ1

このところ、外の天気がいい日が続く。気持ちの良い日差しを求めて、マシュは部屋を出た。

カルデアに窓は数える程しかない。場所でいえば医務室と、人口的に構築された庭、たった2箇所だけだ。高地の、それも1年のほとんどを吹雪に閉ざされる場所で、外など見えても仕方がないだろうと設計の際に決められたのだろうか。
まだ窓があるだけましと考えるべきなのだろうが、レイシフト先で本物の空の青さや風の気持ちよさに触れたマシュは、外から遮断されたカルデアにいると、ときどきふっとした息苦しさに襲われるようになった。これもマスターがやって来るまでは知り得なかったことだ。

庭まではそう遠くない。庭、といってもほとんどテラスのような造りだ。椅子とテーブル、あとはプランターがいくつか並べられている。
プランターに植える植物で大人気なのは○○○ワレだ。埋めたら絶対芽を出す上に食べられるから、というちょっと夢のない理由で。
マシュも1度、倉庫に残っていた向日○の種を埋めてみたのだが、温度が悪いのか日差しが足りないのか、芽を出してもらえなくて落ち込んだことがある。あのショックに立ち向かってでも必ずやプランターに花を!……と、考えられるほどの余裕がこれまでなかった。

だけれど、今ならいいかもしれない。
マシュは空いたプランターがあったなら、花を育ててみようと思っていた。

謎の特異点を解決した先日から、次の特異点に向けて、マスターとサーヴァント達は成長期間真っ只中だ。日夜、種火や素材を集めに奔走している。
いつもはマシュもこのメンバーに含まれるのだが、今回に限っては外れている。

クー・フーリン【オルタ】の失踪が起こる一週間前のこと。第五特異点を無事攻略して帰還したマシュを、異変が襲った。

サーヴァントで肉体が強化されているとはいえ、過酷を極めた戦闘で無理が祟ったらしく、帰還直後に倒れてしまったのだ。
足から力が抜けていく感覚はマシュも怖かったが、それ以上に傍らにいたマスターはもっと恐怖を感じたらしい。
あれからというもの、マスターは過保護なまでに気を使ってくれる。申し訳ないような、ちょっと嬉しいような、複雑な心境だ。

そういう訳で、マシュは現在、次の特異点までの休養を厳命されている。そこで思いついたのが、花を育てるということ、という次第である。

花のない庭 02→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
164人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。