recovery ページ28
その夜、念の為もう一晩医務室に泊まることになった。
隣のベッドにいるのは、石になってしまったハーマイオニーだそうだ。
やっぱりあの地面の這う音はバジリスクか、と腑に落ちた。まだ頭痛が残るから、冷めてしまったパイを口に放り込んで布団を被った。
ーーー
「あと数分でジニーは死に僕は記憶ではなくなる。ヴォルデモート卿が復活するのだ。再び…生きて…この世に。」
誰？
ハリーがヘビ……バジリスクに襲われそう。
「っ……！！」
彼の手に握られているのは……剣？
「大したものだろう？バジリスクの毒が体を貫くその速さ。君の命もあと何分も持つまい。どうだ？たかが日記にやられる気分は。それも愚かな小娘の手にかかって。」
ハリーはヘビの脳天に剣を突き刺した。その拍子に腕にバジリスクの毒牙が刺さる。
冷酷にハリーを見下ろしているのは……
分からない。
ハリーは近くにあった毒牙を掴んで、日記帳に刺した。
「何をする？やめろ！よせ！」
誰かが狼狽えた。体を押えて苦しそうにもがく。
ーーー
「！」
変な夢だ。汗がすごくて逆に寒気がする。
まるで、ハリーが何をしているのか見守っているみたいな……。
外はまだ暗い。モヤモヤした儘考え込む。
とりあえず着替えようと近くのローブを掴むと、マダム・ポンフリーがそれに気づいて駆けつけてくれた。
「起きましたね。もう授業は終わっていますから、これを飲んで着替えたら夕食に行きなさい。」
小瓶の薬を渡される。あのまずいやつか。
「ありがとうございます、」
気合いで飲み干して、ローブに袖を透す。そのまま大広間に向かった。
ーーー
どうやら私はまた数日眠ってしまっていたらしく、数人に声をかけられた。しまいには、生きてたのか、とかそんな重いことまで言われた。
スリザリンのテーブルに行く途中、ハリーとロンを見かけた。今日は宴らしく、なんたってハリーたちがバジリスクを倒して、石化した生徒が元に戻ったからだとか。
ハリーもこちらに気づいて、嬉しそうに顔をほころばせた。
「ハリー！無事でよかった！」
「A！起きたんだね！石になってなくてあんしんしたよ。」
お互いに魂動を確かめるように抱き合った。去年よりもハリーの体はたくましくなっていて、ちょっとドキッとした。
そこに、キョロキョロと視線を動かす栗色の髪の毛が見えた。
「「「ハーマイオニー！」」」
ロンとハリーと私の声が重なる。栗色の髪の毛はこちらを向いた。
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作者名：そぼく | 作成日時：2023年3月27日 2時
