heir to Slytherin ページ24
2人は声の練習もして、準備万端だ。
「ハーマイオニーは？」
「私行けそうにないわ、２人だけで行って」
個室からハーマイオニーは言った。
「ハーマイオニー、大丈夫？」
私が聞くと、「時間が無くなるわ。早く行って」と促した。
「わかった。談話室はこっちだよ」
私の後に続いてクラッブとゴイル＿＿＿に扮した2人はのそのそと着いてきた。
「おい君たち」
しばらく歩いて、もう着くというところで赤毛のグリフィンドールの上級生らしき人に声をかけられた。
「何してたんだ？こんなところで」
ロンは低い声で聞いた。
「僕は何しろ監督生なのでね。君達こそ夜こんな時間に廊下をウロウロしてるんじゃない。」
「名前は？」と訊かれた時、ロンたちが吃っていると、
「クラッブ！ゴイル！どこにいたんだ？ず〜っと広間でバカ食いしてたのか？」
眉をひそめたマルフォイが2人に声をかけた。
「なんでメガネなんだ？」
ハリーの方を見てそう言った。
「あ、えと……本を読んでて」
「字が読めたのか？」
訝しむように目線を泳がせた後、脇の私に目をやった。
「なんでこいつらと一緒なんだ？」
「談話室の場所を忘れたって言うから。マルフォイが見当たらなくて近くの私に聞きに来たの。別にそんなに怒らなくてもいいでしょ。」
じゃ、と小さく彼らにウインクして寮に入った。
ーーー
《Harry》
Aは僕らに頑張って、と小さくウインクして寮に消えていった。
僕らもマルフォイに続いて談話室に足を踏み入れた。天井は低く、剥き出しの石に彫刻が掘られていて、暗くて少し寒い。
どかっとソファーに腰かけたマルフォイはこちらを見て「まあ座れ」と促した。
僕らが腰掛けるのを確認したあと、マルフォイはさらに口を開いた。
「それにしても、日刊予言者新聞が事件を報道していないとはね。きっとダンブルドアが口止めしてるんだろ。父上が言ってるよ、ダンブルドアが学校を最悪にしてるって。」
「それは違う！」
思わず僕は否定した。まずい、これだとバレる。
「何だ？ダンブルドアよりもっと悪いのがいるって言うのか？」
機嫌を損ねたマルフォイは薄く顔を赤くして立ち上がった。
「ハリー・ポッター」
この窮地を回避すべく自らの名前を言った。
「ふん、なるほどな、いいこと言うじゃないか」
「お偉いポッターめ！みんなヤツがスリザリンの継承者だと思ってる。」
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作者名：そぼく | 作成日時：2023年3月27日 2時
