spider march ページ13
ハリーが急に止まった。
そこには、蜘蛛が列を成して窓の隙間から外へと出ていっていた。
「なんか……不吉だね」
「ヘンだよ、蜘蛛がぞろぞろと……」
私が言うと、ハリーも頷いた。
「僕、蜘蛛は嫌いだ」
ロンが言った。
ふと下を見ると、水溜まりがあった。そこには何かが反射していた。文字だ。
「あれは……？」
ばっと顔を上げると、血文字で“秘密の部屋は開かれたり 継承者の敵よ 心せよ”と書かれていた。
「血文字だわ」
「酷い……」
ハリーはなにかに気づいて数歩前に進み出た。それが仇となってしまったけれど。
「フィルチの猫だ。ミセス・ノリス……」
逆さに壁に吊るされたミセス・ノリスはビクともしない。
すると、数十人の生徒と先生方が駆けつけてきた。
最前のマルフォイが血文字を読み上げる。
そして、ハーマイオニーの方を見て言った。
「次はお前らだ、“穢れた血”め」
「何を騒いどる？どけ、通してくれ」
人混みの中からフィルチが来た。
「ポッターお前何を……」
そして瞳に愛猫を捉えたフィルチは何を勘違いしたか、ハリーに掴みかかった。
「私の猫を殺したな」
「違うよ」
ハリーもふるふると首を振った。
「殺してやる……殺してやる！」
「アーガス！」
ダンブルドア先生の声だ。生徒らは声のする方に目をやってサッと道を開けた。
「諸君、それぞれの寮に直ぐに戻るのじゃ」
そういった校長は戻ろうとした私たちにここに残るよう言った。
「死んではおらん。石にされたのじゃ」
静かに校長は言った。
「……じゃが、どうして石になったのかは分からん。」
「あいつです！あいつがやったんです！ヤツの文字をお読みでしょう！」
フィルチはハリーを指さして叫んだ。
「違います誓って！ミセス・ノリスには触ってません！」
「嘘をつけ！」
フィルチは一向に信じない。
すると、やり取りを眺めていたスネイプ先生が1歩前に出た。
「彼らは偶然居合わせただけかも。しかし、状況的には実に疑わしい。それに私は夕食の席でポッターの姿を見た覚えがない。」
「それは私のせいなのですよ。ファンレターの返事書きを手伝ってもらっていた。」
「それで、私たちはハリーを探しに行っていたんです。」
私も補足を入れた。
「疑わしきは罰せずじゃ。」
ダンブルドア先生は言った。
「私の猫が石にされたんだ、罰を与えなきゃ治まらん！」
フィルチの怒りはとどまることを知らなかった。
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作者名：そぼく | 作成日時：2023年3月27日 2時
