mysterious voice ページ12
夕食は最悪だった。
嫌いなものが出たから？そんな生ぬるいものじゃない。それに、今日は私の好きな糖蜜パイが出た日だからむしろ最高であるべきなのに。
いつもよりも周りからの視線が刺さる。
きっと昼の事件だろうか。グリフィンドール生とつるんでいるのが1年の時よりも大っぴらになったからだろう。
話を広めたのは＿
心当たりのある相手＿＿ブロンドのオールバックに視線をそっと移すと、ビンゴのようでバッチリ目が合った。
やっぱりあいつか。
拳を握りしめる。
怒りによって暴れる拳を押さえつけて、糖蜜パイを口に詰め込んで自室に戻ることにした。
ーーー
寮に戻ると、当然ソコロ達はまだ大広間なので談話室も自室もしんと静まり返っていた。
なんだか疲れた私はお先に眠ることにした。
ーーー
＿＿＿＿殺す
＿＿＿血だ！血が欲しい
物騒な言葉が聞こえて私は飛び起きた。
そんな私に驚いたのか、デスクに向かっていたソコロはビクッと痙攣してこちらを見た。
「A、帰ってきたら寝てたからびっくりしちゃった」
ソコロはそう言って肩を竦めた。夕食のことも知っているだろうけど、深く訊かないのが彼女のいいところだと思う。
「つい眠くて。ねえ、ソコロ。さっき何か言った？すごく物騒な言葉が＿」
＿＿＿お前を殺してやる
「どうかした？」
ソコロは訳が分からないという様子でこちらを見た。
「いや、ええと……なんでもない。ちょっと外の空気吸ってくるね。悪夢を見たみたい」
ソコロはあの声が聞こえていない？
釈然としない儘私は自室を出た。
ーー
取り敢えず、ギルデロイ・ロックハート先生の元でペナルティを受けているというハリーの元へと向かうことにした。
途中でハーマイオニーとロンに会って、彼らもまたハリーを探しに行くとのことだった。
＿＿＿殺すぞ！
「ハリー」
ハリーを見つけたハーマイオニーが名前を呼んだ。
「今の聞いた？」
ハリーが私たちに問うた。
「聞こえた。それで相談があって」
私が言うとロンとハーマイオニーは顔を顰めた。
「何を？」
「あの声……」
「声って誰の？」
「最初、先生の部屋で……今も……」
「私は自室で聞こえたんだけど……さすがに距離がありすぎじゃない？」
＿＿＿殺す時が来た
「動いてる、殺す気なんだ」
ハリーはそう言って、走り出した。
「殺す？ハリー、ちょっと待って！」
私達もあとをおった。
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作者名：そぼく | 作成日時：2023年3月27日 2時
