第二五話『気付いていなかったのかも』 ページ27
『..........は、』
私は、思えば今まで気付いていなかったのかもしれない。“鬼”という存在は、人をむさぼり喰う生き物だと、本当は分かっていなかったのかもしれない。
簡潔に言うと、その小さな家の裏手に、鬼はいた。座り込んで、何やら手に物体を持って。
鬼が持っているのは.....人の、手?鬼の口元に、血がベッタリついているのが分かった時、背筋が凍った。
人が無残にも切断され、地面に転がっていたのが腕や足や胴体だと気付いて、足が動かなくなった。
「..........ん?何だテメェ、鬼狩りかよぉぉ」
『っ..........』
こちらに気付いたらしく、立ち上がってジリジリと近づいてくる鬼。私も、反射的に腰の刀に手をかける。
「..........ん?ガハハっ!!お前、手ェ震えてんじゃねーか。怖いのか?怖いんだろ?な、そうだろ?」
..........怖いの他に、何があるっていうんだ。怖い。今すぐ、叫びたいほどに怖い。炭治郎、善逸くん、と心の底から助けを叫びたい。
.....でも、どんなに叫んだって、祈ったって、神様はそんなに優しくないのだ。心優しい炭治郎にさえ苦しみを与えるほどに、神様は意地悪なのだ。
今生きるか、死ぬか。私の運命は、その二択に迫っている。
―――――――――――――――――
―――――――――
「ぎゃああああっ」
『くっ、』
スパン。刀が空を切る音と、鬼の叫び声と。き、切った.....鬼の手を、始めて。私が呆然としている間、鬼は悶え苦しみながら右手を押さえる。
..........え、私シンプルに凄くね?始めて切りましたよ??鬼を(正確には右手)!!!
『切ったどーーーーーーー!!!!』
「くっそ..........このオレが..........こんな小娘なんかに..........」
死亡フラグ立つようなセリフ言ってんじゃねーよ、と思わずツッコミたくなってしまった。そうだよ、小娘だよ!!もうちょっと精一杯頑張りなよ!!
「こんなところで..........死んでたまるかァァァァァ!!!」
『えっ、ちょっ、タンマタンマ!!!』
すみません、さっきの私のセリフ謝るから。だからそんな凄い形相して迫ってくるのやめてもらえないかな!!!
え、やば刀振るの遅れる。.....これ、シンプルに死ぬやつ?
「猪突猛進ーーーーーっ!!!!」
...............では、無かったらしい。
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みるく - 藻さん» いつも楽しみに......!?ありがとうございますっ、感謝感激です!!ですね、もしかしたらそうかも......(( でも無惨様がラーメン食べてるとこ想像したら...笑 (2020年5月1日 22時) (レス) id: e3ab556303 (このIDを非表示/違反報告)
藻(プロフ) - みるくさん» いつも更新楽しみにしてますよ!!下弦に探させたんですか………!!?ないのに……!?相変わらず人使い荒いですね…そんなとこも好きです、見つかんなかったから下弦解体しちゃったのか………? (2020年4月30日 21時) (レス) id: e085f6cc78 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 藻さん» そうです無惨様は悪くない(作者)!!本当にいつも読んでくださってありがとうございます、後日無惨様はらーめんとやらを下弦達に探させたとか何とか......。 (2020年4月30日 20時) (レス) id: e3ab556303 (このIDを非表示/違反報告)
藻(プロフ) - ら、らーめんとはなんだ……!!!?…………そうか、大正時代にラーメンないですもんね!!無惨様は悪くない!! (2020年4月30日 20時) (レス) id: e085f6cc78 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - 藻さん» 分かってくださった方がいた(盛大なネタバレ)!!いや本当にありがとうございます、誰やねんこの人とか思われたらどうしようかと思ってました......。パワハラ会議ご本人様々じゃないですか...あかん......(下弦風)。 (2020年4月30日 19時) (レス) id: e3ab556303 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2020年3月31日 13時