52.（side_you~ ページ4
side_you
文化祭当日、私は1人で体育館の後ろの方に座り、
ステージ発表を無意味に眺めていた。
ステージでは生徒たちが自己満足のために、
パフォーマンスを披露している。
バカみたい…
本当は北斗くんとまわる予定だったのに。
気がつけば気まずくなっていて、
結局一人ぼっちになってしまい…
周りの楽しそうな雰囲気が変に腹立つ。
そんな意地悪な気持ちで見ていたステージに、
見知った顔が登場した。
その人の登場と共に、観客も一層盛り上がる。
『ども〜、樹でぇ〜す』
周りの盛り上がりとは対照的に、
やる気ない挨拶がマイク越しに体育館に響く。
どうやら軽音楽部に無理やりやらされているようだ。
しかし、樹の歌声は一瞬にして観客を沸かせた。
ステージ上での樹は、キラキラと輝いていて…
『…好きだ……』
脳内で、樹のあの言葉が蘇る。
あの時、私にそう言った樹が、
今、目の前で歌っている。
その言葉を意識して見る樹は、
より輝いて見えて、
まるで好きになってしまったように感じる。
"好き"のフィルター越しの樹は、
世界で1番かっこいい。
それは決して曲げられない、私の中の真実。
ロック系を2曲ほど歌った後に、バラードを歌って、
樹たちの発表は終了した。
｢おつかれ、かっこよかったよ｣なんて、
声をかけたかったけど、今の私たちに、
それはレベルが高すぎた。
足早に体育館を後にした樹を横目で確認し、
私はまた、どうでもいいステージ発表に目をやった。
帰ろっかな…
そんなふうに考え出した矢先、
私の目の前に突然誰かが現れた。
縁日によくありがちな、変なお面をつけていた人。
顔は見えなくても、
その細い体で誰だかすぐに分かる。
｢…樹……｣
私の言葉に、樹はお面を少しずらして顔を見せた。
樹｢当たり｣
ニヤッと笑ったその顔は、久しぶりに見た気がする。
最近は気まずくて、
まともに顔を合わせようとしなかったから…
樹｢ちょっと来て｣
私の返事を待たずに、樹は私の腕を引き駆け出した。
こんなこと、前にもあったな…
そんな懐かしいことを考えながら、
私は素直に樹に連れられ、
ごった返す校舎を駆け抜けた。
樹の少し汗ばんだ手に、その温もりに、
私はすごく、安心していた。
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さいか(プロフ) - リリーさん» そんなふうに言っていただけるとすごく嬉しいです(;_;)ぜひまたリクエストがあればよろしくお願いします！ (2019年2月16日 23時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - すごいです！こんなに素敵になると思ってなくて何回も読み返しちゃいました！ありがとうございます！ (2019年2月15日 0時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！バレンタインにピッタリのお話が書けて嬉しかったです！！ (2019年2月14日 13時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 樹くんへバレンタインのチョコをプレゼント手作りしてプレゼントするのが読みたいです！お願いします(^ ^) (2019年2月12日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！「�� - 雨降る日曜日 - 」にて、樹くんと女の子ちゃんのラブラブ書かせていただきました。ご要望に答えられたか心配ですが…ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月12日 6時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年11月19日 7時
