65. （side_you~ ページ17
side_you
家に帰っても気持ちは重たいままで、
私はベッドの上に座り込んでいた。
そして、当然のように樹も隣に座っている。
｢…樹｣
樹｢んー？｣
｢もう大丈夫だよ｣
時計の針は既に12時を過ぎ、
もうすぐ午前1時になろうとしていた。
樹｢俺がここにいたいだけ｣
｢…そう｣
｢大丈夫｣とか言っておきながら、
本当はまだ少しだけ樹にいて欲しいのが本音で…
そんな私の隠れた本音に答えてくれる樹が、
好きだ。
｢あのさ、今日、ありがとう｣
樹｢俺は何も、できなかった｣
｢そんなことない、そばにいてくれた…
それだけで、救われた｣
樹｢そっか…｣
あの時、もし樹が止めてくれなかったら、
私はきっと、もっと酷いことを北斗くんに言ってしまっていたと思う。
｢私、朝ドラヒロインになりたかった｣
樹｢…え？｣
自分でも訳の分からない発言に、
樹は余計訳が分からずに戸惑いの表情を見せた。
｢朝ドラヒロインみたいに、健気で頑張り屋さんで…
みんなに愛されるような女の子になりたかった｣
樹｢あー、なるほど｣
｢でも、ダメだった…
私はそんな、綺麗にはなれなかった｣
北斗くんにあんな暴言を吐いて、逃げ出して…
そんな私は、
誰もが憧れる朝ドラヒロインとは程遠い。
樹｢俺は、深夜の30分くらいのドラマのヒロインの方が…好きかな｣
樹は至って真面目な顔でそう言った。
｢深夜ドラマ？｣
樹｢そう。なんかそうゆうドラマのヒロインって、
必死に、ガムシャラに生きてるじゃん？
そっちの方がかっこいいし、俺は憧れるなぁ｣
そう語る樹の目に、嘘は全くなくて、
私は少し安心した。
こんな私でも、いいのかもしれない…
そう思えた。
綺麗に生きなくても、
一生懸命に生きていれば、
自分に素直に生きてみてもいいのかもしれない。
｢樹はすごいね、私を変えてくれる｣
樹｢それは、お互いさまだよ｣
｢…どうゆうこと｣
樹｢あのさ｣
私の言葉を待たず、樹は勢いよく言葉を発した。
その声に、思わず樹の方を向く。
樹｢今日の約束…なかったことにしていい？｣
｢えっ…｣
それは昼の指切りのことなのか、
そう聞こうとしたけど、聞けなかった。
なぜなら、
私の唇に、樹の唇が重なったから。
初めて触れた樹の唇に、私の思考は停止した。
.
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さいか(プロフ) - リリーさん» そんなふうに言っていただけるとすごく嬉しいです(;_;)ぜひまたリクエストがあればよろしくお願いします！ (2019年2月16日 23時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - すごいです！こんなに素敵になると思ってなくて何回も読み返しちゃいました！ありがとうございます！ (2019年2月15日 0時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！バレンタインにピッタリのお話が書けて嬉しかったです！！ (2019年2月14日 13時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 樹くんへバレンタインのチョコをプレゼント手作りしてプレゼントするのが読みたいです！お願いします(^ ^) (2019年2月12日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！「�� - 雨降る日曜日 - 」にて、樹くんと女の子ちゃんのラブラブ書かせていただきました。ご要望に答えられたか心配ですが…ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月12日 6時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年11月19日 7時
