50.（side_juri~ ページ2
side_juri
｢…好きだ……｣
それは、何度も何度も心の中で言ってきた言葉。
いざ、口に出すと、
それはどこか頼りなく、
消えてしまいそうな、儚い言葉。
言っちゃダメだとわかってた。
Aを困らせてしまうから…
この雨音が、かき消してくれないだろうか？
だが、そんな淡い期待とは反対に、
2人の周りだけまるで時が止まったかのように、
静まり返っている気さえする。
Aの手の甲からゆっくりと唇を離す。
自然と滴り落ちた涙は雨が紛らしてくれた。
Aの顔を見るのが怖い。
怒ってる？
悲しんでる？
そんな不安が邪魔をして、
Aの顔を見ることはできなかった。
…
それから家に帰るまで、
何を話したかなんて覚えていない。
もしかしたら終始無言だったのかもしれない。
頭の中は真っ白…というより、なにもない。
からっぽ。
でも、何故か後悔は感じていなかった。
｢好きだ｣という言葉を、気持ちを、
Aに伝えられたこと。
でもあの時、きっぱりと断って欲しかった。
そしたら、最後のプライドで強がれたかもしれない。
また俺は、前みたいに、
最低な男になれていたのかもしれない…
…
それから1ヶ月、
俺たちの間には微妙な空気が漂っている。
俺たちだけじゃない。
何も知らない北斗とさえ、気まずさを感じている。
学校では文化祭の準備が始まり、みんな浮かれ気分。
そんな時、俺のもとに一本の電話がかかってきた。
その声は久しぶりだったせいか、
どこか心地良さを感じさせるものだった。
｢年末には帰れそうなの。
帰る準備を始めていてちょうだい｣
母親のその言葉に、
俺は例えられないほどの絶望感に包まれた。
俺の日常にAがいることが、
いつの間にか当たり前に感じていた日々が、
終わりへと向かい始めた。
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さいか(プロフ) - リリーさん» そんなふうに言っていただけるとすごく嬉しいです(;_;)ぜひまたリクエストがあればよろしくお願いします！ (2019年2月16日 23時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - すごいです！こんなに素敵になると思ってなくて何回も読み返しちゃいました！ありがとうございます！ (2019年2月15日 0時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！バレンタインにピッタリのお話が書けて嬉しかったです！！ (2019年2月14日 13時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 樹くんへバレンタインのチョコをプレゼント手作りしてプレゼントするのが読みたいです！お願いします(^ ^) (2019年2月12日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - リリーさん» リクエストありがとうございます！「�� - 雨降る日曜日 - 」にて、樹くんと女の子ちゃんのラブラブ書かせていただきました。ご要望に答えられたか心配ですが…ぜひ、読んでいただけたら嬉しいです！ (2019年2月12日 6時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年11月19日 7時
