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その日の放課後、不貞腐れたあっくんが何も言わずに隣で胡座をかいて動かなくなった
学校の中庭で二人、私はただひたすらに「ごめんね」と声をかける
いつも特定のバンドではなく「来てや」とお呼ばれしたところにその日限定で加入していたりしていた
今日がちゃんとしたバンドを組めてから初のライブだったから、
私にちゃんと見て欲しかったのに、肝心な私が見ていたのは別の人
「お疲れ様、凄くかっこよかったよ」
そう声を掛けたら悲しそうに眉を下げて言っていた
「ギターの人が、やろ？」
正直否めない自分がいて、何も言えずにいればこの状況
このままでは何も変わらないので、思い切って私は言ってみた
軽音楽部には入らないと、そうすると驚いたように顔を私に向けて、
まん丸な目を微かに揺らしていた
「…なんで？」
「写真部に、入りたいなって」
「だから、なんで？」
「…写真に収めたい、軽音楽部のあの輝いた姿、
私のカメラでその瞬間にシャッターを切りたい、
私が立つべきところはそこでは無くて、
そこに立つ人がそのステージで奏でてる姿は全く同じようには二度と再現できないから、
私が撮って、忘れないように、思い出せるようにね、
写真を撮りたいって思ったの、…ダメ、かな」
ずっと険しい顔をしていたあっくんの顔が柔らかくなっていき、
優しく笑って「そっか」と呟く
私から顔を背け前を向き、続々と中庭に出てきたダンス部の練習をぼんやりと眺めていた
「…ええよ、Aが入りたい部活に入り、
うん、めっちゃ嬉しいわ、…俺を撮りたいと思ったのがきっかけやなくても、
軽音に対してそう思ってくれたのは、ほんまに嬉しいよ」
すぐに彼は気付いた
私が撮りたいと思い浮かべていたのはあのギターの先輩
上履きの色からして三年生な、あっくんの憧れた先輩
「あっくんはどうしてベースなの？」
「憧れた先輩がギターやったから、
背中を追って追い越すというよりはさ、一緒に音を奏でたいと思ったんやな
そしたらほら、今一緒にバンド組めてるやろ？
先に卒業してまうけど、憧れのバンドに加入できてさ、あー頑張ってきて良かったってほんまに思うわ」
あっくんはその先輩の名前は教えてくれない
「自分で聞け」といつもなんだか不機嫌そうに
それでも憧れである先輩の話をする時は、
目をキラキラさせて、あっくんは前のめりになる
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なあちゃむ(プロフ) - コメントの返信ありがとうございました！桜さんの作品は自分の頭の中で映画のように綺麗に想像することができるので本当に素晴らしいです。桜さんの作品、すべて読ませていただきました。どれも素敵で、読み直した作品もあります。これからも更新楽しみに待ってます。 (2016年8月10日 8時) (
レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - なあちゃむさん» 「また明日」っての方でもありがとうございます、とても嬉しいです、読んでくださる方の脳内で映像化されるような情景描写、美しく綺麗な世界になるように心掛けております、なのでお言葉とても嬉しく自信になります！書いてて良かったです、本当にありがとうございます (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 怜奈 桃ジャス民さん» 順調に進んでおられて良かったです、わかりました、応援していますね(^^) (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - 読んでいてその風景を思い浮かべることができました。ストーリーも本当に素晴らしくて、占ツクを読んで泣いたのは春紫苑が初めてです。本当に素敵なお話でした。また読み返します。 (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - コメント失礼致します。初めまして、友達がオススメしているのを聞いて、久しぶりに占ツクにログインして春紫苑を読みました。私が期待していたイメージを遥かに超えて本当に素敵な作品でした。情景描写の美しさ、メンバーのキャラクター、すべてがイメージとぴったりで (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年6月21日 1時
