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重岡くんと美術館に行った日は生憎の雨だった
梅雨はもう明けていたと思っていた7月の上旬
待ち合わせ場所に行けば傘を閉じて小さなパン屋さんの小屋根で雨宿りをする重岡くんを見つけた
駆けつければ片手をひらっとさせる私服の彼は爽やかで、
灰色の雨の世界、そこに色が見えたように輝いていた
「ごめんね、待たせちゃったね」
「俺が早う着きすぎただけやから大丈夫やで、
雨になってもうたな〜、濡れてへん？大丈夫？」
「うん、全然大丈夫だよ」
「そっか、なら良かった」
傘を差した重岡くんが隣に並ぶ
ふわりと笑って歩き出す彼の後をついて歩き、その時改めて思う身長差にときめいたりしていた
雨だからかいつもより少し大きめな声で話す重岡くん
内容は私の撮る写真の事だった
「宮下さんはいつからカメラやってるん？」
「小さい頃から興味があってね、お父さんがずっとカメラをやってるの、それに影響されて教わったりして、」
「へえ、じゃあもう写真部の中でもベテランなんや」
「そんなことないよ、重岡くんはテニス部だっけ？」
「うん、全然打てへんけどな」
「嘘だ〜」と言えば「ほんまに」と笑う
重岡くんの笑顔は本当に素敵だ
自然と私まで笑みが溢れて、雨の中二人でクスクスと笑っていた
「あっ、ここやない？」
「本当だ！わあっ楽しみだなぁ」
「俺もうめっちゃ無知やから教えてください」
「ふふっ、よろこんで」
美術館の入り口
傘を差したまま私に体を向けて姿勢よく頭をさげる重岡くん
私もくすりと笑って同じように向き合って頭を下げた
顔を上げた重岡くんはいつもの笑窪を見せてくれて、美術館へ一歩踏み出して、
受付では私がお財布を出す前に二人分の入場料を支払ってくれていた
「気にせんといてな」といいながら、パンフレットを一つとって私にくれる
「…悪いよ」
「このくらいええねんて、たまには男らしいところ見させてくれや」
ふふっと笑う重岡くんは少し照れていて、奢られたりするのが苦手な私でも素直に「ありがとう」と言えた
頷く重岡くんが私を横目にゆっくりと歩き出し、それを見て私も隣に並んで館内へと入る
入ってすぐから素敵な絵が目にはいり、私も重岡くんも立ち止まって息を呑んで、
「すごいな」と低い声で呟く重岡くん
言葉なく私も頷いた
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なあちゃむ(プロフ) - コメントの返信ありがとうございました！桜さんの作品は自分の頭の中で映画のように綺麗に想像することができるので本当に素晴らしいです。桜さんの作品、すべて読ませていただきました。どれも素敵で、読み直した作品もあります。これからも更新楽しみに待ってます。 (2016年8月10日 8時) (
レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - なあちゃむさん» 「また明日」っての方でもありがとうございます、とても嬉しいです、読んでくださる方の脳内で映像化されるような情景描写、美しく綺麗な世界になるように心掛けております、なのでお言葉とても嬉しく自信になります！書いてて良かったです、本当にありがとうございます (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 怜奈 桃ジャス民さん» 順調に進んでおられて良かったです、わかりました、応援していますね(^^) (2016年8月1日 10時) (レス) id: 3a95ea47e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - 読んでいてその風景を思い浮かべることができました。ストーリーも本当に素晴らしくて、占ツクを読んで泣いたのは春紫苑が初めてです。本当に素敵なお話でした。また読み返します。 (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
なあちゃむ(プロフ) - コメント失礼致します。初めまして、友達がオススメしているのを聞いて、久しぶりに占ツクにログインして春紫苑を読みました。私が期待していたイメージを遥かに超えて本当に素敵な作品でした。情景描写の美しさ、メンバーのキャラクター、すべてがイメージとぴったりで (2016年7月26日 17時) (レス) id: 525c05de2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜
| 作成日時：2016年6月21日 1時
