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*
「Aっ」
私を呼ぶ声が聞こえて、ぱっと振り返るとそこには金色の髪を風に靡かせるセンラくんがいた。
ごめん遅れた、なんて言う彼にぶんぶんと首を横に振る。
あなたのためなら何時間でも待つよ。…そんなこと、言えっこないけど。
今日は私もセンラくんもこれで講義は終わりだ。そして、たまたまこの後お互い何も予定がない。
「A、今からどっか行かん？」
「えっ、行く行く！私も誘おうとしてた」
「ほんま？じゃーどこ行こ」
覗き込むようにしてそう誘うセンラくんに、こくこくと頷いてみせると彼は嬉しそうに微笑んだ。
スマホを取り出し、あーでもないこーでもないと唸るセンラくん。
やがてよし、と言ってスマホの画面を消した。
「ご飯食べに行こ。ずっと行くならAと行きたいなぁおもててん」
「…っ、」
「…A、どないしたん？」
少し頬を赤らめてそんな風に言われたら、期待してしまう。
仲の良い男友達でもなく、異性の私と行きたいって。
言い方的に私と行くのが初めて…だよね？
…それ、って。
どんどん熱を帯びる顔を隠すように顔を背ける。
私に歩幅を合わせ、ゆったりと歩く彼の足音。彼の小さな息遣い。人混みでたまに当たる腕と腕。
全てが愛おしくて、世界が鮮やかに色づく。
これが、恋。
怖くて、大嫌いになりかけた恋愛が、この気持ちを認めた途端大好きになった。恋に恋をした。
それくらいセンラくんのことが大好きで、大好きで仕方ない。
「…あのさ、」
初春でまだ冷たい空気を裂いて届いた彼の声は、いつもより固くって。
元カレのことを、思い出してしまった。
慌てて打ち消すように首を振り、なに？ と続きを促した。
少し前を歩いていた彼がゆっくりと振り返るけど、表情は金色の髪に隠れていた。
「俺、Aが好きやわ。付き合ってくれへん？」
この時、私は上手く笑えてたかな。
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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (
レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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