【03】来客 ページ4
──ピンポーン。
来客を知らせる呼び鈴が鳴る。
掃除洗濯・宿題も午前中に終わらせた雪花はニャンテンドーNiiで遊んでいた手を止めて、リモコンでテレビを消す。
駆け足で玄関に向かって、ドアを開けた──ドアチェーンは掛けたまま。
「こんにちは。渡瀬 雪花さんですよね？」
「･･･。」
そっと開けたドアから覗きこんできたのは、長い黒髪を雑に一つに結んだ細目の男。
最近噂の詐欺師か、はたまたセールスマンだろうか──顔を見てすぐに名前をフルネームで呼ぶなど、どう考えても不審者にしか思えなかった。
「どちら様でしょうか」
「ワタクシは、
「刑事さん？･･･警察手帳を見せてもらえませんか？」
刑事を名乗る男がスーツの内ポケットから折り畳まれた警察手帳を取り出すと、それを開いて雪花に見せた。
確かに、神奈川県警察という表示、刑事の本名が書かれており、顔写真もしっかり入っている。
「捜査協力というのは･･･？」
「ここでは、ちょっと。」
外だから話せません、というニュアンスで断る刑事。
仕方ないよね、と一度ドアを閉じて──ドアチェーンを外した。
「どうぞ」
「失礼します」
再びドアを開けると、待っていた刑事を家へと招き入れる。
背を向けた雪花に、にっこりと笑う刑事の姿は見えてなどいなかった。
「
「あの、ところで、」
「はい、何か？」
リビングに入るためのドアの取っ手に触れた状態で立ち止まり、ふと思ったことを刑事に問う。
「捜査協力って言ってましたけど、何の捜査ですか？」
「･･･窃盗ですが。」
「窃盗･･･？ 私の能力で協力できること、なんですか･･･？」
恐る恐る、刑事の方に顔を向ける。
「だって、私の能力は──。」
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