04-3.手繋ぎデートと痴漢 ページ6
〆.
電車は割と混んでいた。
「見て見て、あの雲望に似てる」
「えっ?!どれ?!」
「私の瞳に映ってる雲から探そうとしてる?窓の外見てね?」
望の手はあったかい。
今日は手を洗わないと言い出すだろうけど、それはもう「不潔」と一蹴してしまおう。
「………………っ、」
無邪気な顔の望を見ていると、突然お尻に違和感を覚えた。
背後に立つ人物の荷物が当たったのかと思ったけれど、それは確かに私の下半身をなぞっている。
「………………望、」
「ん?
………っ、おい、おっさん」
私の表情とかすれた声で察した望は、すぐに私の後ろにいた人の腕を掴む。
「な、なんだね?」
「今見たからな。おっさん痴漢してんの」
「言いがかりはよせ!」
揉める二人に、私は体震わせることしかできない。
「…わ、私も見てました!この人が、彼女のお尻触ってるの……っ!」
「俺も見たんやけど…!」
「くっ……」
乗り合わせていた人達が同調し、次の駅で男の人はそそくさと逃げていった。
大きな駅だったのでほとんどの人が降りていき、私達は席に座った。
「ごめんな、もっと早く気付いてれば……」
「ううん、ありがとう」
「さっき、殺意しか無かった。Aのお尻……」
大丈夫かな。
この人何をどう心配してるのかな。
「でも、助けを求めてくれてありがとう。怖かったな?」
ぽんぽんと頭を撫でてくれるから、泣きそうになる。
怖かったよ。
初めて望が私のストーカーをしてると知った時より怖かったよ。
「Aのお尻守るために、真後ろ歩こかな……」
「もう少し違う守り方してほしいな…?」
〆.
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林檎(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!ニヤニヤしながら読んでます笑更新頑張ってください! (2019年7月16日 22時) (レス) id: 9baa2abd91 (このIDを非表示/違反報告)
みるくぷりん(プロフ) - 私、剣道部なのですが、ほんとに竹刀、防具匂います!クラスの友達にアンタこんなのつけてやってんの!?と、言われましたとさ笑 (2019年4月3日 22時) (レス) id: 5c6cbd628f (このIDを非表示/違反報告)
ゆーき(プロフ) - これ好き (2019年3月8日 1時) (レス) id: b98f2652d5 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - WEST大好きで緑と青とピンク色寄りのオールジャス民です最高です (2019年2月23日 17時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
たぬき(プロフ) - 淳太くんと流星が主人公を取り合ってるのが見たいです! (2019年2月22日 22時) (レス) id: 9e0f7d62f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆな | 作成日時:2019年2月14日 19時