望くんと彼女。

28-3.体育祭と望vs二人【リク】 ページ47

〆．



ご飯を食べつつさっきまでのことを話すと、流星も中間くんもニヤニヤ。



「なるほど、小瀧はその子の弁当を食べるんや」



「ハチマキも他の子から借りてもてんなぁ〜」



……ニヤニヤし過ぎなんだけど。人の不幸は蜜の味なのかな？



「ほんならAちゃん、その弁当俺にちょっと分けてや」



「は、ずる。俺も食いたいんやけど」



二人がバチバチ威嚇し合う。



「あーんしてや？」



あー、と中間くんが口を開ける。



「お前は口についてるタラコでも食っとけ。俺に食べさせたいやんな？ほらはよ」



なんの争い？



まあ、こんなに食べ切れないし。



どっちに食べさそうかなー、とたまごやきを箸でつまんで持ち上げた瞬間。



「ぱくっ」



聞き慣れたあざとい声と、大好きな匂い。



中間くんか流星、どちらかの口の中に入るはずだったたまごやきは、



「望………」



ほっぺたを膨らませながらもぐもぐする望の胃袋に収まった。



「もー！！なんでこの二人がおんの！？」



「だ、だって……」



「だって？」



その先を言いかけて、でも涙が滲んだから黙り込む。



「…………小瀧、弁当は他の子のがあるんやろ？」



「は？」



「ハチマキも女の子に貸してもらったんやんな〜？」



「何？」



多分この二人は望を挑発してるんだ。事実を述べてるだけだけど。



「……んなわけないやろ。なんで俺がそんなことせなあかんねん」



「っ、」



望が私の頭を引き寄せる。



零れかけていた涙が、望の体操服に染み込んでいった。



「Aの作った飯以外受け付けてへんし。ハチマキも、運営からパクッたんや」



「………………！！」



さっきの「借りよっかな？」って、あの子じゃなくて運営に借りよっかなってこと？



私の勘違い………。



「Aの飯を食おうとするどころか、あーんまでしてもらおうやなんて！一億万年はやいねん！いや絶対させへんからな！！」



望のやきもちがたまらなく嬉しくて。



他の子のお弁当やハチマキを受け取っていなかったことにも安堵して。



「ハチマキ勝手にパクッたんバレて先生に捕まって来るん遅くなったわ……間に合って良かった〜」



「望っ」



「ん、？」



「ありがとう、大好き……」



ぎゅー。



「………………………」



「さすがに体操服は洗濯してね？」



「ええ………」



中間くんも流星も「奪うのはまた今度」と何か納得したみたいだった。



〆．

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