第26話 ページ28
周りが気になり過ぎて神経が疲れてしまった為、丁度近くにあった甘味処で何か食べようと思い、暖簾をくぐって入った。
「いらっしゃ…………あらあ、秀吉様のお嫁さんじゃないか!」
人当たりの良さそうな女の人が私を見てそうこぼす。
『わ、私のこと知ってるんですか…?』
「そりゃあもう!綺麗すぎて浮き世離れしてるって噂だよ!」
……………浮き世離れ?
まさに寝耳に水の噂に私はそう思ってしまった。
「いやあ!実際見てみると噂は本当だね!髪の毛も肌も真っ白で…本当に可愛らしいわあ!」
『ふふ、お世辞が上手なんですね…!』
自分ってそんなに可愛いのかなあ?普通の人じゃない?ちょっと髪色が派手なだけで。
肌は長年外に出てなかったから…あ、これ自分で言って悲しくなった。
「お世辞なんかじゃないよ!」
そう言いながら席を案内してくれる女性。ここで働いているのかぁ…楽しそうだなぁ。
「何食べるんだい?」
『えっと…………』
どれも美味しそうだな、ともくじを見ながら思った。
「お代はいらないよ!なんてったって、お世話になってる秀吉様のお嫁さんだからねえ!」
『えっ、そんなの悪いです…!お代はしっかり払います!』
「いいのいいの!」
流石に全額払わなくていいのは私が嫌だ…なんか嫌だ。
『せ、せめて半分は払わせてくれませんか?』
そう言うと、女性は眉を下げて不服そうな顔をしながらも頷いてくれた。
私は餡蜜を頼んで食べたあと、しっかり半額を払ってお店の人にお辞儀をして出た。
そしてまた数分歩くと、いい感じの淡い色の手拭いが見つかった。
『あの、これとこれ下さい』
隣同士で置いてあった淡い水色の手ぬぐいと、淡い黄色の花柄の手ぬぐいを露店の主人のような人に渡す。
「はい。」
お代を渡して2つの手拭いを受け取る。
その手拭いを風呂敷の中に入れてお辞儀をして踵を返す。
ただ帰るだけじゃ少しつまらないかな、と思い森の方に入った。
いろんな木の揺れる音、掠れる音。
鳥の鳴き声に、花の音。
青い野花や黄色い野花、色とりどりの野花に木の緑が映えてとても綺麗。
日光の光が木漏れ日になって私の肌を照らす。
この落ち着き感が私は好き。
るんるんと鼻歌を歌いながら歩いていると、この景色には似つかないツンとする匂いが鼻をくすぐった。
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マスラ - 初めまして!とても面白いです!続き楽しみにしています。更新頑張ってください!(*^_^*) (2019年2月9日 17時) (レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - コメントありがとうございます。そうですよね、秀吉、私も好きです^^* (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - ニャン武士(^・x・^)さん» ありがとうございます。遅くなりますが、この後投稿させていただきます。 (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
沖田総司 - キャー秀吉可愛い! (2018年10月17日 23時) (レス) id: 61bbaa65c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン武士(^・x・^) - 面白いです!更新頑張ってください! (2018年10月11日 2時) (レス) id: 3f82ed1d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏琉斗 哀 | 作成日時:2018年9月22日 21時