第10話 ページ11
『わぁ･･･！』
「どう？凄いでしょ！」
『はい！とっても！』と秀吉様に答え、視線をまた城下町に変える。
城下町に来るなんて、久しぶりだ。
久しぶりと言っても、ふたつ、みっつ位の頃で、母上と歩いたことがあるだけだから、実質初めての城下町だった。
活気のある町、色々な露店にいい匂いのする甘味処。綺麗な柄の着物が売ってる呉服屋…どれもが新鮮で、とてもキラキラして見えた。
この町を、１から秀吉様が作ったのだと考えると、秀吉様がとても偉大な人に見えてくる。
『秀吉様は･･････凄いですね』
思わず、そう呟いてしまうほど。
「そう？でもさ、活気のある城下町の方がいいでしょ？」
『はい！凄くキラキラして見えます！』
「そっか！じゃあ色んなところ見て回ろう！」
そう言って秀吉様は私の手を握る。
春だけど、気温よりも少しだけ温かい秀吉様のぬくもりはとても安心した。
私も少しだけ握り返すと、心無しか秀吉様の頬が赤くなった気がした。
「これとか似合いそう！買おっか！」
『えぇっ、これで5着目ですよ！い、1着だけでいいです〜！』
「えぇー…じゃあ、3着！」
『う………はい』
今は、呉服屋で着物を買っている最中。
私は秀吉様の着せ替え人形のようなものになっていた。
周りはどれも素敵な着物ばかりで、やはり春だからか、花柄の着物が多いような気もする。
花が好き、と言った私に秀吉様は花柄の着物を沢山買おうとしていたため、私は3着まで、と言っていた。
渋々と言った表情で会計を済ませる秀吉様。
少しだけ唇がとんがっていて、拗ねている顔はどことなく可愛い。
『あ、ありがとうございます！荷物は私が持ちますよ、私に買ってくれた着物ですし…』
「俺が持ちたいからいいよ！」
それに、と秀吉様が耳元で囁いた。
「あんたが荷物持ったら、手、繋げないでしょ？」
『〜〜っ！』
その言葉にボン、という効果音がつきそうな程顔を赤くした私をからかう様に秀吉様は笑った。
『ひ、秀吉様〜…っ！』
「ははっ、ごめんね？でも本心だから」
次は何処見る？と言った秀吉様に、私は俯きながら『････甘味処』と呟いた。
「良し！次は甘味処ね！」
そう言って秀吉様は、多分無意識だと思うが手の握る力を強めた。
「･･･理性、持つかな」
なんていう秀吉様の声は、私には聞こえずに周りの騒がしさの中に溶け込んで消えた。
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マスラ - 初めまして！とても面白いです！続き楽しみにしています。更新頑張ってください！(*^_^*) (2019年2月9日 17時) (
レス) id: 9b6ae3d64f (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - コメントありがとうございます。そうですよね、秀吉、私も好きです^^* (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
奏琉斗 哀 - ニャン武士(^･x･^)さん» ありがとうございます。遅くなりますが、この後投稿させていただきます。 (2018年10月20日 18時) (レス) id: ddcd85e1ba (このIDを非表示/違反報告)
沖田総司 - キャー秀吉可愛い！ (2018年10月17日 23時) (レス) id: 61bbaa65c6 (このIDを非表示/違反報告)
ニャン武士(^･x･^) - 面白いです！更新頑張ってください！ (2018年10月11日 2時) (レス) id: 3f82ed1d40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奏琉斗 哀 | 作成日時：2018年9月22日 21時
