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「俺が仕事ばかりなのが気に入らないらしいんです。そう言われても好きでもない相手を仕事より優先はできません。会社がなくなったら元も子もない」
仕事熱心と言えば聞こえはいいけれど、それでは婚約者さんは寂しいだろう。
もっとも、その実莉さんという婚約者さんが社長に気があるのかどうかはわからないけれど。
政略結婚となれば向こうも乗り気かどうかは何とも言えない。
「最初は夫婦になるために努力してたじゃないですか」
「最初はね」
二宮さんに社長は一言そう返すと、背もたれに身体を預けて天井を仰いでしまった。
「仕事が忙しくてそれどころじゃなくなったんだよ」
「言い訳ですよそれ、仕事人間の」
「うるさいな」
二宮さんがため息を吐くと社長がじとっと二宮さんを睨んだ。
二宮さんは肩をすくめて降参のポーズ。
「とまぁそう言うわけで、年に一度の誕生日くらい機嫌を取っておきたいわけです。なにかプレゼントの案とか思いつきませんか？女性の立場として」
二宮さんは社長ではなく私に言葉を向けた。
社長とのやり取りは不毛だとでも思ったのかもしれない。
「そう言われましても……私の庶民の感覚では婚約者さんには合わないのでは」
「そんなことないですよ。女性が喜ぶものはたいてい決まってます」
社長は背を椅子から起こして机に手を付いた。
両手を組んで私を見上げる。
「というわけで、なにかありませんか」
「ぼやっとした質問ですねー」
「黙ってろ二宮」
私は考え込む。
そもそも私が誕生日プレゼントなんてものに対してこだわるタイプではないのだ。
この間の亜由ちゃんの誕生日には一緒に出かけたときに「可愛い！」と言っていたブランドのポーチをあげたけど、そんな程度で。
「……なにかその婚約者さんの欲しがっているものとかないんでしょうか」
「二宮、知ってる？」
「俺が知るわけないでしょう」
「ということです」
「……そうですか」
婚約者さんの方がどうかはともかく、どうやら社長は婚約者さんを婚約者という立場の女性、としか思っていないようだ。
全く恋愛感情がなさそうなのがはたから見ててよくわかる。
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iCHiKA(プロフ) - のりさん» のり様、お久しぶりです！お待たせしてました、久々の今回は「キスしたいだけ」でございます。こちらこそ今回もありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。お楽しみいただければ良いのですが。今回もぜひ最後までよろしくお願いしますね！ (2021年9月8日 21時) (
レス) id: ca4476f6fd (このIDを非表示/違反報告)
のり(プロフ) - キタ。今回はキスをしたいだけのお話なんですね。しかも思いがけず長編連載。ありがとうございますm(__)m 既に続きが楽しみすぎです。あ、こんにちは。お疲れ様です。余談ですが私にも亜由ちゃん同様カワイ子ちゃん(3人)がいますw (2021年9月8日 16時) (レス) id: 18c83a81d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2021年9月4日 16時
