【◇】銀木犀 6. (ページ25)

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269話ページ25

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今最も好きな人間は誰かと聞かれたら

きっとコイツは迷いなく本宮Aと答えるだろう

ところどころが跳ねた眩しい金髪に対するは

寝癖がひとつもないサラサラの黒い髪

雲ひとつない快晴の青空のような目と

夕方頃によく見る薄紫と桃色が混ざったような目

全くできないというわけでもないが

勉強か運動の2択なら運動の方に傾いている

一方で向こうは文武両道を地で行くタイプ

藍里｢コイツ、Aがいないことをいいことにうるさいんだよ｣

白河｢俺たちからすればこれが普通だけど｣

藍里｢げぇ〜〜っ、あんた達よくそれで生きていけるね私だったらストレスで死ぬ｣

白河｢気持ちはわからなくもない｣

誰からも好かれるような、それこそまるで絵本の中にいる王子様のようなやつと

みんなに見られている、好かれてるというわけではないけれどわかる人にはわかるかわいさを持った人間

騒がしい奴と、大人しい人

背がそれなりに高い奴と、低い人

この2人はどこまで行っても対極の存在だった

それを誰よりもわかっているのが本人たちなのだろう

今も尚誰も座ることのない机を横目に

不貞腐れた表情でいつの間にか昼休みを迎えてしまった

鳴｢Aちゃん、俺と話せなくて泣いてたりしないかな｣

藍里｢アホか、お前と1日話せなくて泣くほどAはか弱くないんだよ｣

鳴｢俺はこんなに死にそうなのに！！！！｣

藍里｢愛が重いんだよ気持ち悪い｣

鳴｢Aちゃんの顔より多く見たカルロの顔｣

ｶﾙﾛｽ｢お前失礼だな｣

藍里｢こいつが失礼なのはいつものことだろ｣

発展があるようで発展がない

進んだかと思えば後ずさり

一進一退とはこういうことを言うのかもしれない

なんて考えていたらこんな時間になっていたわけで

居眠りをしても起こしてくれる人は誰もいないし

こっそり隣を見た時に微笑んでくれる人もいない

それどころか隣がいないおかげで

クラスのお調子者と目が合い、面倒なことになる

さっきなんて｢お前、やっぱ本宮のこと｣なんて言われた

口にボールを詰めてやりたかった

鳴｢俺が彼氏だったら今すぐにでも飛んでいくのに｣

藍里｢そんで風邪もらって自滅するタイプだなお前｣

鳴｢Aちゃんの風邪なら貰ってやってもいいくらいだね！むしろくださいって感じだよ｣

藍里｢ナントカは風邪引かないって言うしね｣

鳴｢バカっていいたいわけ？｣