267話 ページ23
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Aがいないなんて考えただけで苦痛だった
ずっと仲良しで、いつも一緒
そもそもの話、Aが体調を崩すこと自体が珍しい
藍里「え、風邪?」
いつも通り家に迎えに来たら
Aは制服姿ではなく、パジャマ姿だった
いつも綺麗に整えられた艶のある黒髪も
今日はボサボサで、汗をかいているからか前髪が額に張り付いているような状態でお世辞にも綺麗とはいえなかった
「そうなのよ、この子ったら今の季節に風邪ひいて」
藍里「……夏風邪か」
「最近なんか様子が変だと思ってさ、藍里ちゃんそのへん何か知らない?」
藍里「様子?」
玄関に出てきたAのお母さんが
心配そうな声で聞いてきた
最近様子が変って、心当たりがないと言えば嘘になる
それどころか心当たりしかない
藍里「(成宮のヤツのせいだって口が裂けても言えない)」
藍里「いや…そのへんは全く」
「あらそうなの?まぁ別にいいんだけどね、何かが嫌とかそういうのじゃなさそうだから」
昨日一緒に帰ったのは聞いた
アイツ変なことしてないだろうなと思っていたところに
Aからあったこと全てを聞いた
私が思うことはただひとつ、相変わらず面倒だなってこと
そりゃお互いに思うことはあるのかもしれないけど
互いの気持ちを知ってる私からすればじれったくて仕方がない
成宮も成宮だし、AもAだ
藍里「とにかく、ちゃんと風邪治しなよ」
A「うん」
藍里「授業の内容とかは私に任せればいいし」
A「うん」
熱のせいか、それとも昨日の出来事のせいか
その両方か
Aはとにかく元気がなかった
A「あの…藍里」
藍里「ん?」
A「もし…成宮くんに聞かれたら教えてあげて」
藍里「あー…うん、わかった」
Aの言葉が何を意味しているのかはすぐに分かった
確かにアイツの事だから聞かずにはいられないだろう
でもA本人に聞くことは遠慮する
そういうヤツだ
本当は内心焦っていて、Aを取られたくないとか思ってるくせに
その割にいつまで経っても伝えない面倒なやつ
A「……嫌われたかな、私」
藍里「バカじゃん、そんなんで嫌われるわけないっつーの」
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みこ(プロフ) - 初めまして!途中から号泣しつつ、焦ったくてソワソワしてました(*_*)更新楽しみにしてます! (6月3日 23時) (レス) id: f5c0cfc27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年8月11日 5時