【◇】銀木犀 6. (ページ12)

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256話ページ12

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怪我とかそういうことなら

なんとなくどうすればいいのかわかる

ただし体調の変化に関してはまた別の話だ

Aがその場に蹲って何も喋らなくなった時

成宮鳴の頭の中に浮かんだのは

体調が死ぬほど悪くて更には機嫌も悪かった1番上の姉の姿だった

どうしてこんな時に最悪なことを思い出すのかと

自分の記憶を思わず呪った

鳴｢(どうしよう、こういうのってどうすればいいの？)｣

鳴｢(前に姉ちゃんに話しかけたらすげー怒られたし……)｣

純粋に体調を心配したのに

機嫌が超絶悪かった姉に見事にしばかれたことが

若干のトラウマになっている3人姉弟の末っ子成宮鳴

女子にモテモテ、告白された回数は数え切れない

姉も2人いるそんな家庭で育った彼だったが

女の子の扱いはそれほど上手なわけではない

Aのことだから理不尽に怒られることはないと思いつつも何をすれば、どんな言葉をかければいいのか

全くもってわからなかった

相手にリードされてる試合よりもこういう場面の方が何倍も焦るし、危機を感じる

鳴｢…………大丈夫、じゃないもんね｣

迷いに迷い、思わず髪をクシャクシャと触る

家はすぐそこだし玄関は行こうと思えばすぐに行ける距離

家の人がタイミングよく出てきてくれたら……と思ったが

出てくる気配はゼロ

それどころか男である鳴が棒立ちで女であるAが黙って蹲っているこの状況は傍から見ればちょっと問題ありだ

う〜んと唸りながらどうしようかと考えた結果

そっとAの隣に移動した鳴はちょこんとその場に

同じようにしゃがみこんだ

鳴｢ごめんね、Aちゃん｣

何がごめんなのかはあえて言わなかった

もう何をどうすればいいのか

どれだけ考えてもいい応えが思い浮かばなかった故の結果だ

そろ〜っと手を伸ばし小さな背中をさすってあげることくらいしかできなかった

ここでもししばかれたらどうしようかとハラハラしていたが

優しくて大人しいAがそんなことをするはずがなく

A｢ありがとう｣

ふるふると小さく首を振ったかと思えば

こっちを向いて微笑むA

思わず頬が緩みかけたが今はそんな状況ではない

鳴はブンブンと勢いよく首を振ると

また何かを考え始めた