第76夜 ページ31
気配を殺してさっきバジリスクのいた辺りに足を向ける
無視しておけばいいものを、何故か僕は放っておけず何かに急かされるように先を急いだ
『確か、この辺り…』
そこは3階と2階を結ぶ階段だった
昼間は多くの生徒が行き来する賑やかな場所だが、今は夜の静けさとは別の異様な空気が漂っていた
ここはマクゴナガル先生の部屋に近い、あまり長居したくないなと辺りに目を配ると、踊り場に何かが転がって居るのに気付いた
そのうちのひとつがコロコロと階段を転がって僕の足にコツンと当たった
『ブドウ…』
なんで、と訝しながら踊り場まで階段を上がると、目の前に広がった光景に僕は酷い後悔に苛まれる事になった
少し迷って、しかし見て見ぬふりも出来ず僕は仕方なく踊り場に冷たく横たわるソレの傍に片膝をついて首元に手を当てた
『脈はある、か…』
どうやらまた不幸中の幸いだったみたいだ
石になった男の子の近くにブドウと、その他にカメラが落ちているのを見て、間一髪でバジリスクの直視を避けたのが分かった
さて、一応の無事は確認したがこれからどうしようかと息を吐いた瞬間、慌ただしい足音が近付いてきた
僕は咄嗟に男の子から手を離し逃走を計る
が
全然間に合わず階段を降りてきたマクゴナガル先生とバッチリ目が合ってしまった
『あー、えーと、これは…』
面倒な事になったなとゆっくり立ち上がり冷や汗をかく
チラッと先生を盗み見ると、先生は青ざめ驚愕した顔でワナワナと唇を震わせていた
暫しの沈黙の後
「…Mr.ヘルエレガル、彼を医務室に運びます、手伝いなさい」
『……はーい』
有無を言わせない迫力に、僕は大人しく石になって運びにくい男の子を抱えた
その間にブドウやカメラを拾い集めた先生が厳かに「着いてきなさい」と告げるのを、コクンと頷いて応えた
何度か男の子を抱え直しながら医務室に向かう
不謹慎だけど、男の子が被害に遭ったのが医務室近くで良かったと溜息を零した
「私はダンブルドアを呼んできます
ポピー、この子を頼みますよ」
ベッドに男の子を降ろすと寝巻きのままのマダム･ポンフリーが青褪めた表情で駆け寄ってきた
「さぁ、大変だったでしょう？ これを飲んで」
マクゴナガル先生が急いで医務室を出て行くのを見送ると同時に、マダム･ポンフリーが温かいティーカップを持たせる
中身は紅茶だった
しかし飲む気にもならず、僕はただ指先を暖めながらダンブルドア達の到着を待った
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たると - 誕生日が、一緒だー!!!!!!!!!!!やったー!!!!!!!!!!!!!! (2020年11月22日 18時) (
レス) id: 4d06b37767 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 雪見だいふく魚味さん» ご指摘ありがとうございます！Miss.とMs.が混ざった謎の新しい単語を生み出してしまいました…笑 修正しておきました、報告感謝です！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく魚味(プロフ) - １つ気になったのですが、第94夜の『Mis,』って，『Ms,』ではないか？と思いました。英語はまだ習い始めたばかりなので，そう言う表現もあるのかもしれませんが，少し気になったので，報告させていただきました。長文失礼しました。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2d7f9b3bbb (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» ありがとうございます！ ハリーみたいに真っ直ぐなザ･主人公もいいけど、ちょっと複雑な主人公も良いですよね！これからも二人の対比にご注目ください！ (2019年7月16日 0時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 光と闇の主人公同士ですな。素晴らしい (2019年7月15日 2時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2019年2月8日 21時
