第二話 ページ4
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このフィオーレ学園に通い始めて早1年が過ぎた。
最初こそは抵抗もあったのだが、今では何とか浮く事もなく生活出来ている気はする。
しかし、自分の性格上友達が出来ないのが1番の難点であり悩みでもあった。
今日も今日とて、あまり話しかけられないように話しかけるな近寄るなオーラを全開に放っていた。
本音を言うならば、まぁ友達を作ってみたいと思うけれどそれを実行出来るほどの行動力など持ち合わせておらず、ただただ自分のその性格にため息が零れる。
気分転換でもしようかと、趣味である読書に耽ろうと図書室へと向かった。
そこには誰一人としておらず、そのシーンとした静けさに微かな寂しさを感じつつもどこか安心したように小さく息を付く。
人がいるとどうしても気を遣ってしまうし、いつものオーラを全開に放って人が遠ざかって行くことへの2割安心感・8割孤独感というなの寂しさを味わう事になるのも嫌だった。
その事もあり、微かに安堵のため息を零したのだ。
いつものように、最近ハマっている本を読もうとその本が置いてある本棚へと足を進めた。
“良かった、あった…。”
と、心の中で呟いてその本に手を伸ばした時。
それと同時に横から伸びてきた手に声にもならない程に驚いた。
バッとその伸びてきた手の主の方に顔を向ければ、赤色の瞳と視線が重なる。
“綺麗な瞳…。”
それが最初に見た彼の感想。
ルビーを思わせるその綺麗な瞳に思わず魅入りそうになったのだが、ハッと我に返った。
それと同時に、1歩後ろに下がったのだ。
不意打ちとは言え、異性とそこまで近付いたことのない(寧ろ近づかせないようにしていた)せいか、どう反応していいのか分からない。
「あ、ごめんなさい。」
出来るだけ平然を装い、いつものような調子でそう言葉を零せば、伸ばしていた腕を下ろした。
そして、よくよく彼を見て気付いた事。それは同じクラスの人だと言うこと。
シーンと何とも言えない沈黙が続き、しかも彼は何故か自分を見つめていると言う変な状況である。
あまりの気まづさに思わず口を開いた。
「この本、好きなのよ」
「…俺もこの本、好きだよ」
と、予想外に返事が返ってきた事への驚きと自分のハマっている本が好きだと言ってくれた事にもっと驚いた。
静かにしないといけないはずの図書室に「そうなの！？」と言う驚きの声が響く。
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