第二十五話 ページ27
「おいババア！」
と怒りが沸騰したまま、理事長に殴り込みにいくも
「誰がババアじゃ！」
と頭を捕まれてアイアンヘッドをくらう。
「痛い！離せ！」
とひとしきり暴れて、少し言い合いをしてから学園長はその手を離した。
「それで、何のようじゃ？」
と聞かれたので、質問に答える。
「とぼけるな、何で彼女に本を渡して、部屋に来させた。」
と、少し苛つきながら彼女に詰め寄る。
「主には関係ないことよ。」
とひらりとかわそうとするが、俺はそれを許さない。
「ふざけるな、彼女を殺すつもりだったのか。」
そう考えると腸が煮えくり返る
「俺をまた・・・人殺しにするつもりなのか・・・！」
鮮明に【彼女】の顔が思い浮かぶ。
愛していた、だがあの場にはあの選択をするしかなかった。
助けられなかった【彼女】が頭に浮かぶ。
初めての恋で自分で
「・・・いつまで囚われている。」
と学園長の正しくて、冷たい言葉が放たれる。
俺はそれに
「自分で終わらせた命なんだ、背負わなきゃいけない。・・・頼むからもう、十字架を俺の背に乗せないでくれ。」
「彼女は人のまま終わるのが、最善で最高の終わりかたなんだ。」
そう俯いたまま、呟いた。
「主に人の幸せを決める権利はないぞ。」
ああ、わかってるよ。
わかってる。
「主は彼女に過去を重ねているのだろう？」
止めろ、そうだよ。
知ってるからいってくれるな。
正論なんて聞きたくない。
「主のそれは只の・・・」
そこから先を言わせるわけにはいかなかった。
彼女の首を即座につかみ黙らせる。
「その言葉も、その考えも、全て俺だけのものだ。あんたが言うな。」
その後、即座に離すが、もう彼女に関わる気は失せていた。
逃げるようにその場を去った。
逃げて、逃げて、逃げた。
止まった先で窓から顔を出しながらおもわず本音をポツリと呟く。
「人として死にたい。」
その言葉は夜空に吸い込まれて消えていった。
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