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「ッ、A兄…!」

「ごめんね、驚かせちゃったな。」


青い瞳をまん丸にして、飛び跳ねた状態で固まってしまった彼に笑う。

そういえば、キルアの試合をヒソカに教えてもらったと言うことにしようという話になっていたんだったか。

…ヒソカの試合観戦に誘われたことにしておこう。


「お、どかすなよ…!」

「ふふ、猫みたいだったよキルア。」

「うるせぇ。…兄貴は……いねーみたいだな。」


キョロキョロと辺りを見渡してホッと息を吐くキルア。

イル兄が自分を連れ戻しにくるかもしれないと思っているのだろう。

そんな彼の頭を梳く様に撫でる。


「大丈夫。1年は絶対にイル兄はキルアを無理やり連れ戻したりはしないよ。」

「…本当?」

「父様と約束したからね。1年はイル兄に釘を刺してくれるって。」


キルアを外に出す条件の他に、イル兄がキルアを連れ戻すのを妨害するという約束も取り付けてあった。

一度キルアを外に出したから、すぐに連れ戻しても別に問題ないでしょとイル兄がケロッと言うのが簡単に想像できたので。


「…そっか。A兄はなんでここにいんの?」

「任務がこの近くで入ってたんだけど、ヒソカから試合見に来て欲しいって電話来たんだよ。そうしたらキルアが見えたから思わず声をかけちゃった。」


少し言い訳に無理があったかと不安に思ったのは、彼が少しばかり眉間にシワを寄せてリングの方を見たからだ。

だが、その心配も彼の次の一言で杞憂に変わる。


「A兄さぁ、なんでヒソカみたいな危ない奴と連むんだよ。」

「まあ…ヒソカは一定の力があれば安全圏みたいな所があるから。」

「安全圏んん??あのヒソカがぁ…?」

「だって現に、ヒソカのおかげでキルアとゴンは200階の洗礼を受けずに済んだだろう?」


げ、と顔を歪めたキルアを抱き上げる。

父様よりも澄んだ深い青色の瞳が、私を見下ろす。


「ヒソカから聞いたのかよ…。」

「聞いた時は心臓が止まるかと思った。…本当に無事で良かった。そうじゃなきゃキルアを外に出した事を悔やむ所だった。」

「それで俺が怪我したって、A兄が悪りぃ訳じゃねーじゃん。」


怒られていると思ったのだろう、キルアはむっすりと頬を膨らませてこちらを見る。

そんなふくりと張った頬に右手を滑らせる。

念を使えば、12歳のキルアを片腕で持ち上げることなど容易い。


「…ふふ、キルアをもし怪我させる輩がいるなら排除して然るべきだね。」

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ゆーな(プロフ) - キルアの甘えたな所とヒソカが何だかんだ優しくて可愛い過ぎる!このお話面白くてハマりました! (2022年1月15日 15時) (レス) id: 83b0960623 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘夏蜜柑 | 作成日時:2021年10月2日 2時

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