【H×H】マドンナリリーの花を君に贈る。２ (ページ20)

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「よく寝れたかな、クラピカ。」

一日中眠り続けたクラピカが目を覚ました。

私は念を行使し続けている為、彼の眠るベットのサイドチェアに腰掛けている。

ほんの数十分前に朝焼けが差し込んで来たのでブラインドを下ろしていたが、目が覚めたなら上げるべきだろうか。

「…A、か…ゴン達は…？」

「目的のオークションに向けて動いているよ。レオリオとセンリツ…といったかな、彼女達は隣の部屋で仮眠を取らせている。」

「……すまない。今私の身体が軽いのは…貴殿が念を使ってくれているからなのだろう…？」

クラピカの問いに水を手渡す事で肯定する。

実際、私が念を消せばクラピカの体への負荷は跳ね上がる。

ただ、丸一日は念の制約を抑えたのでかなり楽になっているはずだ。

「さて、病み上がりのところ悪いけど、情報の擦り合わせをしようか。クラピカが気になっているであろう私と旅団の関係も教えてあげる。」

「あぁ…助かる。」

起きあがろうとした彼の肩を抑え、そのまま額に置かれていたぬるいタオルを手に取る。

手早く水桶で冷やしそれをクラピカの額に戻してから、旅団と私の関係を話し始めた。

と、いっても、私と旅団はイル兄を介して何度か面識があるだけの希薄な繋がり。

仲が良いと言えるのはマチだけだ。

この場合、ヒソカは正式な団員では無いので除く。

「…確かに、貴殿の出自を顧みれば不自然なことでは無い、か。」

「彼らの能力に関しても悪いね、ろくに覚えていなくて。」

「いや。こちらこそ、大事な弟君を巻き込んでしまって申し訳ない。」

「…あの子は子どもだけど、自分で判断のできる子だからね。クラピカを助けたいと思ったあの子の気持ちに、水は差さないよ。」

そう言えば、クラピカは少しだけ困ったように笑う。

ブラコンだ、とまた思われてしまっているのだろうか。

「さて、旅団の事も気にかかるだろうけど、もう一眠りした方がいい。」

「だが、Aのおかげで随分と楽になったから、」

「駄目だよ。この後、キミはジッとしていられないだろう？今のうちに身体を出来るだけ休めるべきだ。」

「……すまない。ありがとう。」

「いいんだよ。君たちがキルアと仲良くしてくれている事に、私は本当に感謝しているんだからね。」

クラピカが寝入るのをぼんやりと眺めていれば、ポケットの中が振動する。

取り出したケータイには、『ヒソカ』の文字が浮かび上がっていた。